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soranokizunaのカケラたちや筆者のひとりごとを さらさらと ゆらゆらと
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「Happy birthday!」

マスターがカガリのコースターに置いたのはデザートカクテル。
色とりどりのフルーツにジュレがキラキラと輝いて、まるで宝石のようだ。

「ぅっわぁ。」

カガリにぱぁっと笑顔の花が咲く。

「お誕生日おめでとう、カガリ。」

穏やかな笑顔のアスランに、
“ありがとう”と、カガリはほんのりと頬を染めた。



雫の音 - shizuku no ne - 7




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スイーツは世界平和だと、カガリは本気で思う。
だって、さっきまでの痛みも滲んだ涙も全部空へ飛ばしてしまうから。

「んまぁ〜いっ!」

一つひとつのフルーツが口の中で弾けて、思わずカガリは瞳を閉じた。
すると、フルーツのきらめきが瞼にさえも映るようで。

「マスターは魔法使いみたいだな!」

「最大の賛辞をありがとうございます、姫。」

「もう、からかうなよっ。」

口を尖らせたカガリに、バルドフェルドは人差し指を“ノンノン”と振った。

「私は真面目に言ってるのだよ。
だって、アスラン君が連れて来たってことは“ソウイウコト”、だろ?」

ウインクを飛ばしたバルドフェルドに、アスランはため息を漏らした。

「カガリを困らせないでください。
“ソウイウ”関係では無いんですから…。」

カガリは話の流れから、バルドフェルドはカガリの事をアスランの恋人か何かと勘違いしているのだと悟り、
慌てて両手を振り全力で否定した。

「そうだぞ!
私とアスランはただの同級生で、友達で!!
恋人とか、そういう関係だって勘違いされたら、アスランに迷惑かけちゃうだろ!!」

“なっ。”と、カガリが同意を求めるようにアスランに視線を向けても、
アスランは“えっ、いや。”と歯切れの悪い返事をし、
焦ったカガリが口走ったのは、自分の制御を超えた内容だった。

「だいたい、アスランには恋人や好きな人がいるかもしれないしっ。」

カガリの胸の内は一気に冷え切って、なのに焦りが体を熱くして、
そのアンバランスさの中で聞きたくもないアスランの答えを待たなければならず、
思わず顔を覆いたくなった。

ーーうわぁ、もう、サイアクだっ。

「恋人はいないよ。」

先程の曖昧な返事とは違い、アスランははっきりと答えた。

「…え。」

それ程誤解されたくなかったんだと、素直にツキンと痛んだ胸にカガリは苦笑する。

ーーそりゃ、昔振った女を恋人と勘違いされたら嫌だよな。

と、普通に考えれば当たり前の事なのに。

ーーそれに…。

カガリはデザートカクテルをクルリと一混ぜして口に運んだ。
アスランは恋人“は”いないと言った。
だからもしかしたら、好きな人はいるのかもしれない。

「好きな人は、いるけど。」

ーーほら、やっぱり。

本当に、このデザートカクテルがあって良かったとカガリは思う。
自分の蒔いた種で勝手に傷つくなんてめちゃくちゃでボロボロだから、
せめてこの魔法のようなお酒に身を委ねてしまいたい。

「アスランなら、大丈夫だよ。」

それはカガリの素直な言葉だった。
減ってしまったデザートカクテルに視線を置いたままカガリは続ける。

「きっと想いは届くから。」

“どう…かな。”とアスランは視線を下げた。
アスランの表情は、何故だろう後悔の色が深く見えて、カガリの胸は共鳴するように軋む。

「その人とは、ずっと離れていて…。
でも、ずっと忘れられなくて。」

カガリの脳裏に、会議室でのアスランの表情がフラッシュバックする。
高校3年生の文化祭の写真をシンとルナと一緒に見ていた時、
アスランはどこか寂しそうな顔をしていた。

ーーアスランは今でもラクスの事を…。

あれはカガリが大学2年生になる前、
ラクスが声楽の勉強のためにパリへ渡ったとキラを通して聞いた。
キラはアスランと一緒に空港へ見送りに行ったのだ。
ラクスは音楽家になるまではオーブに戻らないと決意していたという。
ラクスに対し澄んだ泉のように清らかな印象をもっていたカガリは、
彼女の決意にしなやかな強さを感じて、勝手に励まされていた。
世界の歌姫と称されるラクスは今でもヨーロッパを拠点に活躍しており、
オーブに帰国したとの知らせは無い。

アスランは、彼女の意思を何よりも大切にしたことだろう、
自分の想いは胸に仕舞って離れることを選んで。
ラクスと一緒に居られない痛みは、想いの分だけ強く、深くーー
そんな痛みをアスランはずっと抱き続けているんだ。

「それでも、アスランなら大丈夫だ。」

アスランに前を向いてほしくて、カガリはカウンターの上のアスランの手を取った。

「きっと、一緒に居られる時が来たら、
絶対、アスランのことを好きになってくれる。
諦めちゃダメだっ!」

高校3年生の文化祭の時、アスランがラクスに向けていた眼差しを忘れない。
彼女を守るんだって、アスランの意思をこの目で見たからーー

「カガリ…。」

カガリは滲みそうになる瞳を誤魔化すように、
“つい、熱くなっちゃったな。”と言って、パタパタと両手で顔をあおいで、

「アスランの恋は叶ってほしいんだ。
私のは、無理だから。」

ポツリとこぼしたカガリの本音、切なさは隠せなかった。

「無理って…?」

「私にも、忘れられない人がいるんだ。」

ーー私はずっと、アスランのことが好きで、

「でも、その人には心に決めた人がいて…。」

ーーアスランはラクスを想っていて、

「最初から、叶わない恋だったんだ。」

ーー高校生だったあの頃も、
大人になった今も。

「だから、アスランには諦めないでほしいんだ。
きっと叶うって、祈っているから。」

涙の予感がする。
視界は心を映した様に揺らめく。

止まらない想いは、永遠に繰り返させる失恋に変わる。
分かっていても、止まらない。

雫の音が聴こえた時、
カガリは意識を手放した。




ーーーーーーーー

アスランにも忘れられない人がいたんですね。
その痛みを十二分に知るカガリさんは、
アスランの話を聞いて共鳴するように胸を痛めます。
と同時に、アスランを好きでいる限り、失恋は永遠に続いていくことを思い知る・・・。
なんて、ちょっとつらすぎます(>_<)

ですが、アスランの言葉をよくよく思い返してみると…?

次回はアスラン視点のお話です。


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止まっていた恋心が
駆け出すように動き出す。



雫の音 ー shizuku no ne ー 6




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アスランの “少し飲んで帰らないか” の言葉に、
自分と同じ気持ちだったらいいのにと思う。
もう少しだけ、一緒に居たいと。

アスランが向かったバーはクラシカル…なのに
どこか少し変わった雰囲気の店だった。
その原因はこの人であろう、

「やぁ、アスランくん、いらっしゃい。
おやぁ、今日はお姫様をお連れかい?」

カウンターの中にいるのにバーテンダーではなく、
派手なシャツに右手にはコーヒーカップを持っている。

「今晩は、バルドフェルドさん。」

アスランの声に親しみを感じ、
カガリはこの店は彼の行きつけなのかもしれないと思う。
だとしたら失礼があってはいけないと、
アスランに続いてカガリも挨拶をした。

「はじめまして、カガリです。」

「よろしく、カガリさん。」

と、右手を差し出され握手を交わす。
彼の手はまるで職人のようだと、カガリは思った。

カウンターに並んで腰掛けたタイミングで、
バーテンダーがメニューをさし出そうとすると
バルドフェルドは“ノンノン!”と人差し指を左右に振った。

「今日は私めにお任せいただいてもよろしいですかな、姫。」

と、おとぎ話のお姫様のような扱いをされてカガリはたじろぐ。
それを横目に、アスランはクスクスと笑みをこぼした。

「大丈夫だよ、カガリ。
俺も、今日はマスターのお任せで。」

すると満足したのか、バルドフェルドは派手なシャツの袖を直して
シェイカーを手に取った。






程なくしてマスター特製カクテルが仲良く並んだ。
カガリの前には青みがかったエメラルドグリーンのカクテルにチェリーが添えられ、
アスランの前には繊細な琥珀色のカクテルに、ソルトであろうか飲み口がキラキラと輝いている。

アスランはグラスをカガリの方へ傾けて、

「おかえり、カガリ。」

と乾杯の仕草を見せ、
カガリははにかんだような笑みを浮かべて

「ただいま。」

と応えた。
そうして気づくのだ、オーブに帰国して“ただいま”と言ったのは、
今この時が初めてだったことに。

カガリがカクテルを口にすると、アスランが“大丈夫”と言った通り
オートクチュールのように今の自分に寄り添うもので驚いた。
それだけではない、体の内側からシャンパンの気泡のようにキラキラとしたものが立ち上るような、
そんな不思議な感覚がする。
春に芽吹くように、心が開いていくような。

だからだろう、きっといつもの自分だったら話さないであろう言葉が素直に出てくる。

「誕生日の3日前に振られちゃって…さ。
開き直ってパーティーしちゃおう!って気にもならなくて。」

沈みそうな空気を軽くするために付け加えた笑い声は乾いたもので、
カガリは素直にため息を漏らした。
一口だけ残したグラスを見詰めながら、カガリはポツリとこぼす。
だから、アスランがコースターも裏に走り書きをしマスターに渡したのには気づかなかった。

「いつも、こうなっちゃう。
分かっているのに…。」

「いつも…って?」

遠慮がちに、でも、アスランにしては珍しく踏み込んできてカガリは驚いたが、
それ以上に、素直に応えてしまう自分に驚くのだった。
全部このカクテルのせいだろうか。

「気持ちに応えたいのに、それが出来なくて、
結局相手を傷つけて終わっちゃう。
今度こそ頑張ろうって思っても、ダメで…。」

「それって、少し変じゃないか。」

アスランの思わぬ返しにカガリは彼を見た。
すると、彼もまた空になりそうなカクテルグラスを見詰めていた。

「だって、カガリの想いがそこにあれば、それだけで相手は幸せだと思う。
応えたいとか、頑張ろうとか、 思わなくてもいい、
自分に真っ直ぐ気持ちを向けてくれるだけでいいんだ。」

アスランの言葉に貫かれて、じわり、涙が滲んだ。
どんなに頑張っても、長続きすることも、相手を幸せにすることも出来ない筈だ、

ーーだって、私の心の真ん中にはいつも……

ふいに、シンの声が脳裏に響いた。
『カガリの1番に、どうやっても俺はなれないって、分かったんだ。
だから、友達に戻ろう。』
あれはスカンジナビアに留学していた頃、
シンの熱意に押し切られる形で付き合い始めたけれど、
結局別れを切り出したのもシンの方だった。
どんなに頑張っても親しくなってもハグ止まり、キスも出来ないーー
年頃の男の子にとってはつまらない付き合いだったとカガリは思う。
だけどそれ以上はーー

ーーだから無理だったんだ…。

“俺だったら、そう思うけど。”と、少し恥ずかしそうに言ったアスランは、
カガリを見て固まった。
琥珀色の瞳に溜まった涙が今にも零れ落ちそうでーー

「ごめん、無神経だった。」

ーーアスランの、こんな誠実さも大好きなんだ。

カガリはふるふると首を振った。

「いいんだ、アスランの言う通りだと思うから。」

誰と付き合っても、カガリの想いはただ1人に向けられていて、
どんなに頑張っても想いのベクトルを努力や力で変えられる筈も無い。
だから相手を幸せに出来ず、
カガリ自身が幸せになることも無い。
それでもカガリが交際を受け入れてきたのは、
アスランを忘れたかったからではない、
相手の気持ちに応えたかったからだ。

ーーだって、みんな本当に優しくて、いいやつで、
一生懸命、真っ直ぐに気持ちを向けてくれて…。

そして、別れを切り出すのはいつも相手の方で、
別れた後はシンのように友達に戻っていった。
カガリは相手を傷付けた罪悪感に胸を痛めつつ、
友達として付き合ってくれる彼らに心から感謝していた、“本当にいいやつだ”と。

そして、アスランの言葉で思い知るのだ、
きっと自分は誰かを幸せにする事は出来ないんだと。
心の真ん中にアスランがいる限り。






ーーーーーー

いつもお読みくださる数少ない読者の皆様、ありがとうございます。

カガリさんは空になりかけのグラスのように
満たされない想いを抱えています。
アスランからのアドバイスは、カガリさんにとっては残酷なものでした。
だって、心からまっすぐに相手に思いを向ける事はアスラン以外に出来ない、
つまりカガリさんは誰も幸せに出来ないって事ですから。

こらこらアスラン、あんまりカガリさんを悲しませると許しませんよ(-_-#)

一方でアスランもまた満たされない想いを抱いているようですが…?

次回の更新は金曜日を予定しています!



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「モルゲンレーテから参りました、カガリ・ヤマトです。」



雫の音 ー shizuku no me ー 4



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と、カガリはアスランとシンに目配せをする。
カガリの本当の名前はカガリ・ユラ・アスハであるが、
父親の会社ではワーキングネームを使用し、父との関係性を公にしていなかったからだ。
“了解した”と言うかのようにアスランが軽く頷いてくれてほっとし、
担当者が変更になった経緯と自分の経歴を簡単に説明し始めたカガリを
シンがマイペースに遮った。

「堅苦しい自己紹介はいいって!
えーっと、簡単に言うとーー」

完全に主導権を握っているシンが、勝手にカガリの他己紹介を始めた。

「カガリと俺は、お互いスカンジナビアに留学した時に知り合って、
現地では1番仲良かったよな。
留学生仲間から親友になって、付き合って…」

「ちょっと!
元カノってこと!」

シンの恋人と思われる彼女は、怒髪天を突く勢いだ。
美人な分だけ凄みが増し、カガリはブンブンと手を振って説明しようとしたが、

「ルナの言う通り、元カノっていうのは事実だけど…。
でも、うーん、戦友っていうのが1番しっくりくる関係かもな。
留学先の勉強がキツくてさ、一緒に戦って乗り越えて。」

“な。”と、懐かしそうに目を細めて同意を求めてくるシンに、
カガリは“うん、まぁ。”同意を示しながらも、
現恋人である彼女の気持ちを考えると説明不足だと感じていた。
シンの説明では誤解を招いて彼女を傷つけてしまいそうだから。

「あの、詳しくは後でシン…じゃなかった、アスカさんから聞いて欲しいんですけど、
ルナさんが心配するような事は何も無いです。
むしろ、私はルナに笑われてしまうと思います。」

カガリは当時を思い出して恥ずかしさに小さくなった。
ルナはまだ完全には納得していない様だが、カガリの言葉に嘘は無いことは伝わったのか、
“後でキッチリ説明してもらいますからね!”と、シンの耳を引っ張り、
“イテテ…”言いながらも、まんざらでも無い表情を浮かべるシンに、
カガリはシンとルナの関係性を見た気がしてほっこりとしていた。

が、隣に座るアスランはどこか固まったような表情をしていて、
気のせいだろうか、顔色が悪いように思われる。

「アスラン、大丈夫か。
体調悪いのか。」

カガリが顔を覗き込むと、アスランは髪をかきあげながら応えた。

「大丈夫。
じゃぁ、カガリとシンは知り合いだから、
後はルナマリアの自己紹介を。」

と、今度はルナの方が話を遮った。

「アスランとヤマトさん、ひょっとして知り合いですか?」

流石は女の勘というやつか、瞬時に感じ取ったルナに驚きながらもカガリは頷いた。

「あぁ、高校の同級生。」

“な。”と、カガリがアスランに視線を向ければ、
アスランは“あぁ。”と、なんだか歯切れの悪い返事をした。
さっきからアスランの言動がらしく無いとカガリの心配は募るが、
ルナとシンは御構い無しの猛スピードのタックルのような質問責めを開始し、
そんな姿を見て、カガリはルナとシンは似た者同士のお似合いだと心底思うのだ。

こんなカップルだったら、
毎日楽しくて、
日常の中にたくさんの思い出が出来て…。

「アスランはどんな高校生だったんですか?
やっぱりモテたんですか?」

「へー、生徒会で一緒だったんだ。
アスランが会長ねぇ。」

「なんかいそうなタイプよね。
すんごいイメージ湧くもの。」

「それより、カガリ。
写真無いの、写真!」

「きゃー、見たい見たい!
カガリさん、写真見せてください!!
このとーり!!」

“おいおい、その辺に…”とアスランが待ったをかけようとした時、
カガリは“あった!”、と携帯の画面を2人に見せた。
生徒会室で、キラとアスランと3人で撮った写真だった。
高校2年生の頃、まだ恋も知らず、毎日が楽しくて仕方がなかったあの頃ーー
カガリの笑顔には一点の影も無かった。

「うわぁぁぁぁ!!!」「きゃーーーー!!!」

「カガリ、めっちゃかわいいっ!」

「アスランはイケメンすぎー。」

「なーんか、青春って感じだなぁ。」

「爽やかすぎるっ。
こんな生徒会だったら、全校生徒はみーんな生徒会のファンになっちゃうわ〜。」

と、二人は好き放題の感想を言い合い、
そんな姿が微笑ましくてカガリは笑みをこぼした。

「カガリさんのお隣のイケメン様は誰ですか?」

ルナの“イケメン様発言”に吹き出して、カガリは応えた。

「それは私の双子の弟のキラ。
で、アスランの親友。」

「美男美女の双子が生徒会に!
マンガみたい〜!」

と、ルナのテンションはどんどん上がっていく。
“じゃぁ、3人でとっても仲が良かったんですよね。”とルナは前置いて続けた。

「もしかして、高校生の頃、
アスランとカガリさん、付き合ってたりして!」

グサリと突き刺さった言葉に一瞬フリーズしそうになったカガリは、
バレー部で鍛えた瞬発力で切り返した。

「そんな訳無いだろ?
ただの友達だって!」

アスランにこの胸の痛みを悟られてはいけない、
新しく始まるアスランとの関係性を守って仕事を成功させること、
それが1番大事なことなんだ。
そう思えば、カガリはどんな痛みだって乗り越えらる気がしていた。

空気を変えようと、別の写真を探していると、
横から覗き込んでいたアスランが声を上げた。
その写真は高校3年生の文化祭のものだった。
ふとしたタイミングでアスランに告白してしまい、振られた後に迎えた文化祭。
写真の中の中のカガリの笑顔は、先程のものとは全く別だった。
笑顔の中に混じる切なさ、それに気づく者はこの場に居なかった。
“どんな痛みでも乗り越えてられる”と思った5秒後に、
カガリはズキズキとした痛みに襲われて思わず滲みそうになった瞳を凝らして
簡単に説明した。

「これは高校3年生の時の文化祭。
私のクラスの出し物は、アリスのティーパーティーで…」

写真には、ブルーのワンピースにフリルのエプロンを付けたカガリと、
制服姿のアスランとキラ、
そしてもう1人ーー

「この人、超絶かわいいですね!
ラクス・クラインにそっくりで。」

“あ…”と、カガリはアスランに視線を向けると、アスランは特に気にせず応えた。

「ラクスだよ。
俺の幼馴染なんだ。」

ーー幼馴染で好きな人…だろ。

胸の内でカガリは呟いた。
今はヨーロッパを中心に活躍する世界的な歌姫、ラクス・クライン。
ただし、当時はデビュー前の音楽高校に通うお嬢様だった。
失恋して間もない当時、アスランからラクスを紹介されて、
カガリが泣き出さずに済んだのは隣にキラがいてくれたからだった。
繋いだ手から、“頑張れ”の声が聞こえたから。

実際にラクスと文化祭を回ったのは何故かキラだったけど、
カガリのクラスの喫茶店でラクスと話をしてみると、澄んだ泉のように素敵な子だった。
ラクスとの思い出はこの一時だけだが、
今でもカガリの中でキラキラとしている。

「ラクス様が幼馴染って!
ここまでくると、アスランの設定が胡散臭く感じるわ。
マンガかよっ!」

と、ルナが好き放題言うので、
“それ、言えてる〜”と、シンとカガリは声を上げて笑った。
こうしてシンと笑い合っていると、留学していた当時を思い出せて
カガリはホッとするのだ。
シンの存在が、時間を高校生から未来へ動かしてくれた気がして。
そっとアスランを見れば、あの頃と変わらない困ったようは笑顔に
どこか寂しさが紛れ込んでいるような気がして、

ーーアスラン…?







共同事業の第一回目のミーティングは大半を雑談で占めることになってしまったが、
短時間でも内容の濃いものとなったのは、それだけシンとルナ、
そしてこの事業の責任者であるアスランが優秀だからであるとカガリは痛感し、
持ち前の負けん気の強さでやる気がムクムクと湧いてきた。
ミーティングを終え、これからお世話になる部署への挨拶回りと、
充てがわれたデスクの片付けを終えようとしたタイミングでシンがやってきた。

「カガリ、今夜予定ある?
再会を祝して飲みに行こうぜ!」

「あ、予定は無いけど、
えっと…。」

カガリは、誘いは嬉しいしシンと久しぶりに話がしたい気持ちはあったが、
金曜の夜に彼女を差し置いて他の女、ましてや元カノと飲むのに、
シンもルナも抵抗は無いのだろうかと不安が過ぎる。
ルナとはミーティングという名の雑談の中で打ち解けて、
名前で呼び合う間柄にはなったが…。

ーーそもそもシンは今夜、ルナに私との過去を説明すべきなんじゃ…!

そこまで思った時だった。

「シン、企画書の再提出は今日の午前中までだっただろ。
終わらせてから帰れよ。」

カガリの隣に、身支度を終えたアスランが立っていた。

「カガリ、一緒に帰ろう。」

まるで高校生の頃のように、
優しくて穏やかな笑顔でアスランが言うから、

「うん。」

カガリはそうなることが自然のように頷いていた。
大好きなアスランの笑顔を真正面から見たのは何年振りだろう。
あまりにも素直に胸が高鳴って、
頬が染まっていくのを隠すようにカガリは黙々と帰り支度をする。
そんなカガリの胸の内なんて知らず、アスランはカガリに話しかけて来るから心臓が持たない。

「せっかくだから食事でも。
カガリは何が食べたい?」
「アスランのオススメのお店は?」
「俺じゃなくて、キラの好きな店なら知ってる。」
「ケーキかパフェが美味しいカフェか?」
「小さな洋食屋なんだ。
キラはいつも食後のデザートに2、3品は頼んでるから、
きっとスイーツも美味しいんだと思う。」
「わぁ、行ってみたい!」

いつのまにかポンポンと会話が進んで、“大丈夫。”そう自分に言い聞かせ、
カガリはアスランに付いて席を立った。




“くそ〜!久々にカガリと盛り上がりたかったのに〜!”と悔しがるシンを、
ルナは“来週には、カガリの歓迎会で飲めるんだから、ね。”となだめた後、
思案するように2人が出て行った扉を見つめた。

「アスランが女の子を誘ってるの、初めて見たわ。」

ルナの驚きは最もだった。
何故なら、アスラン程の容姿に社長の息子という肩書きと申し分無い実績から
女子社員はもちろん、社外、さらには芸能人からのお誘いもあったと噂されているが、
アスランは全て断ってきたという。
もちろん、彼自ら女性を誘った等とは聞いた事も無い。

「アスランも、久々に話がしたかったんじゃねぇの?
同級生で、一緒に生徒会もやってた仲なんだし。」

するとルナは目を凝らすように細める。

「アスランみたいなタイプが、再会を理由にプライベートで誘うかしら?
仕事上のことであれば業務時間内に済ませるだろうし。
なぁ〜んか、引っかかるわね。」

“そんなもんかなぁ。”と、シンは伸びをして
すっかり忘れていた企画書に取り組むのだった。








ーーーーーー
今回もお読みくださり、ありがとうございます!
読者さまが少ないのでやりたい放題です(^_^;)
きっと、お読みくださってる皆さまは寛大な方ばかりなのでしょう。
甘えさせていただき、今後も好き放題な展開を予定しています。
と言っても、2人の恋路を邪魔する人物は出てきませんし、むしろ最大の敵は自分自身!?的な感じです。
なので、軽いノリのパロディを安心して読み進めていただけると思います。


さて、シンとカガリさんは元カレ元カノの関係でした(^_^;)
でも、皆さまがご心配されるような関係では無く、
それはそれは清いご関係でしたのでご安心を!
まぁ、別れた原因が清すぎるからなんですが(-ω-;)

高校生の頃の写真を見て盛り上がる皆さん!
ですが、何故かアスランは寂しげです。
その理由は後々…。

さて、次回はアスランとカガリさんのデートです!
アスランはどういうつもりなんでしょうかね。
それも後々…。


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金曜日の午後、一般的な社会人にとっては夜の飲み会や週末へのカウントダウンに心踊る時間帯であるが、
カガリはオフィスビルのエントランスを目前にため息をこぼした。

ーーまさか私がここに来るなんて…。






雫の音 ーshizuku no ne ー 3







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世界的な大企業であるザラコーポレーションはアスランの父親が経営する会社だ。
当然、跡取りであるアスランは大学卒業後は父親の会社に就職し、
キラが言うには、マンガの様なエリートコースを歩んでいるという。

足が竦みそうになり、カガリはふるふると首を振った。

ーーた、確かアスランは海外支社に転勤になったって、キラが言ってたし!

いくら父親が経営する会社に出入りしようと彼と関わる可能性はゼロに近いし、
共同事業にカガリが関わった事実も、この企業規模を考えればアスランの耳に入ることも無いだろう。

ーーきっと後々キラが喋ってバレるくらいで!
何とかなるなる!

“そうだ、そうだ!”とカガリは握りこぶしをブンブンと振って弱腰になった気持ちを振り切って、
ハイヒールの靴音を鳴らしてエントランスをくぐった。

いくら高校生の頃の出来事であっても、カガリにとっては現在進行形の恋であり、
永遠に続いていく失恋なのだ。
出来るだけ本人には会いたくない、これは仕事なのだ。
高校生の頃は些細な事で涙が溢れて、フレイに呆れられる程目元を赤くする毎日だった。
だから、学生カバンには化粧ポーチが欠かせなかった。
あの頃は多感な時期だったからと言えばそれまでだが、
成人して社会人になった今、彼を前に自分が自分を保てる保証は無い。
でも、それでは駄目なのだ、
ここでのパフォーマンスはカガリだけの責任に帰す訳ではない、
自分はーー

「こちらでお待ちください。」

べらぼうに美人な受付嬢に案内された会議室に腰掛け、
カガリは精神統一するように瞳を閉じて息を整えた。

ーー大切なお父様の社名を背負っているんだから。

瞳を開いて腕時計に視線を落とすと約束の時間を指した。
と、同時に控えめなノックの音が聞こえ、返事と共にカガリは立ち上がった。

「失礼します。
お待たせしてーー」







時が、止まった。
だって、あり得ないーー





「…カガリ…?」

アスランが目の前にいるのだから。
カガリは呼吸も忘れて完全にフリーズした。
鼓動が煩いほどに鼓膜を打って、訳の分からない焦りがせり上がってくる。

するとアスランは困った様な笑みを浮かべた。
その笑顔が高校生の頃にオーバーラップして、じわりと涙の予感を覚えて
カガリはぎゅっと手を握りしめた。
“もう高校生じゃないんだぞ!”と、カガリは自分を叱咤して、

「久しぶり、アスラン。」

と、何とか声を絞り出した。
彼の名を呼ぶだけで頬が染まりそうで、カガリは誤魔化すように笑って見せた。
すると、今度はアスランの方が驚いた顔をして、
カガリは自分の仕草が不自然だったのではないかと冷や汗が浮かんだ、
のを振り切るように自ら話題を振った。

「驚いたよ、キラからはニューヨークへ転勤になったって聞いてたから。」

「1ヶ月前に戻ってきたんだ。
驚いたのはこっちの方だ。
カガリはスカンジナビアで就職したんだろ、いつオーブに帰ってきたんだ。」

まるで高校生の頃の様にスルスルと会話が進んで、
カガリは落ち着きを取り戻していくのを感じる、“大丈夫だ”、そう自分に言い聞かせて。

「3日前に。
スカンジナビア支社から本社へ、3ヶ月間の出向で。」

「そうか。
でも、共同事業の担当者は別の方と聞いていたけれど…。」

「その筈だったんだけど、担当者が季節外れのインフルエンザにかかって、
おまけに入院することになっちゃってさ。
私が代打、って決まったのが3時間前。」

“そっちに迷惑かけちゃうな”とカガリが肩を落とすと、
アスランは大きく首を振った。

「そんなことはない!」

アスランらしく無い大きな声で、カガリは驚いて顔を上げ、

「カガリにまた会えたんだ、
結果的にいい巡り合わせだと思う。」

そのまま頬が染まっていくのを感じた。

ーーアスランは、会えて良かったって…思ってくれたのかな。

“そうだといいな”、とカガリははにかんだ様な笑みを浮かべた。
するとアスランは控えめに手を差し出した。

「また、一緒に頑張ろう。
よろしく。」

求められた握手に、と言うよりアスランとの接触にカガリは一瞬戸惑うが
取引先からの握手を拒む様な無礼は出来ない。
意を決して、それでもおずおずと、差し出された手に触れる程度の握手交わす。
すると、触れ合ったそばから生まれた熱が一瞬で全身を駆けていくようで、
カガリは

ーーいけないっ。

条件反射的に手を引いた。
何がいけないのかも分からないまま、それは自己防衛にも似たもので。
しかしアスランから見れば挙動不審以外の何ものでも無いことに気づいたカガリは

ーー違っ。

アスランを見上げた。
すると見覚えのある表情をしていて、はっとする。
アスランが傷ついた痛みを隠す時、こんな風に笑うんだと知っていたから。
カガリが“ごめん”と口に出そうとした瞬間、
勢いよく会議室のドアが開き、バタバタと1組の男女が入ってきた。

「遅れてスミマセン!
担当の…。」

先に入った男の方が名乗ろうとした…が、それは彼の驚きに吹き飛んだ。

「えぇ!!カガリ!??」

それはカガリも同様で、

「シン!!」

驚きと再会の喜びのままにシンはカガリを抱きしめて、
当たり前の様にカガリはシンの胸に収まった。
いや、正確にはシンの腕の中で子猫のように飛び跳ねるので全く収まっていない。

「うわぁ、シンだ!シンだ!
久しぶりだな、元気にしてたのか?」

「相変わらずだな、カガリは。」

そう言ってシンはカガリの髪をわちゃわちゃと撫で回しながら、
“ずっと元気にしてたよ”と、優しく目を細める。

「てか、カガリはいつオーブに戻ったんだよ。
てっきりスカンジナビアに居るんだと思ってた。」

カガリが口を開こうとした時、
シンの後に続いて入室してきたショートボブの女性が咳払いをした。

「いい加減、恋人が他の女とイチャイチャしてるのを見続けるのは不愉快なんですけど!」

我に帰ったカガリは慌ててシンから離れ、その拍子に目に映ったアスランの表情に真っ青になる。
何故ならアスランが不機嫌な顔をしていたからだ。
高校生の頃は腹が立つことはあっても滅多に顔に出さなかったアスランが、
今は明らかに感情を表している。

「申し訳ございませんっ!」

ガバっとカガリが頭をさげると、その頭をシンがポンポンと撫でた。

「大丈夫だよ、カガリ。
とりあえず、座って自己紹介しようぜ。」

チラリとアスランを除き見れば未だ表情は変わらずで、
シンの恋人と思われる彼女からは厳しい視線を当てられて。
共同事業第一歩目を踏み外したような気持ちになり、カガリは思わず空を仰ぎたきなった。






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王道の展開ですがアスランと再会&一緒にお仕事をする事になりました(^_^;)
カガリさん、大丈夫でしょうか…?
そしてアスランの態度も気になる所です。
ぎこちない再会から2人どの関係がどう動いていくのか、見守っていただければ幸いです。

また、カガリさんはシンとも知り合いのようです。
随分仲が良さそうですが、カガリさんとシンとの関係は次回明らかになります!
ちなみに、シンはルナの彼氏さんです。
なので、アニメ本編にあったようにルナがアスランへ憧れ(?)や興味(?)を抱く事はありません。
このお話には、面倒臭いので女難も無いですよ。
メイリンは後々出てきますが、面倒臭い事にはなりませんのでご安心ください!

では、また次回もお楽しみいただければ幸いです!



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雫の音が、聴こえる。

ひとつ。

また、ひとつ。

滴る雫はいつかコップを満たして、

最後の一滴で
淵から水が溢れ

こぼれ落ちる。

でも水がこぼれたのは、
最後の一滴が原因じゃない。

止まらない雫が、

数え切れない程の雫たちが、

ここにあるから。

そして次の雫が、

いくつもの雫が、

きっとこの世界に落とされる。

誰にも受け止められないことを
知りながら。






雫の音 ー Shizuku no ne ー 1



拍手[13回]


















目覚めて目に入った天井は見慣れたものではなくて、
ぼんやりとした頭で、カガリはポツンと呟いた。

「そっか、エリカのお家だっけ、ここ。」

カガリは時計を確認すると、ネコのように伸びやかにリビングへと向かった。

カガリが、父の部下であり姉のように慕うエリカの家に住むようになったのは3日前。
大学生1年生の頃、スカンジナビアに留学しそのまま就職もしたカガリが、
オーブ本社へ短期出向になったことがきっかけだ。
9年振りにオーブに帰国したのだから実家へ戻っておいでと父は言ってくれたけど、
カガリはエリカの申し出に乗っかった。

『3カ月間、家を預かってくれないかしら?』

エリカのぶっ飛んだ性格を知るカガリは、その申し出に噴き出した。

『夫の赴任先に3カ月間だけ行くことにしたのよ、リゾートを兼ねて、ね♪
ちょうどカガリちゃんの出向期間と重なるし、どうかしら?

家具家電付き、セキュリティは万全、駅近マンションの最上階って、ナカナカ良い条件でしょ?
もちろん、私たちが留守の間管理してもらうんだもの、家賃はいらないわ。
ただし、1つだけルールを守ってちょうだいね――』

カガリは、オーブ本社への出向期間が終了後すぐにスカンジナビアへ戻る心積もりでいたため、
エリカの申し出は正直ありがたかった。

あれから何年も経つけれど、

――オーブには思い出が多すぎるから。

まだ忘れ得ぬ想いがふわりと薫って
カガリは苦みを帯びた笑みを浮かべる。

ほら、また。

雫の音が聴こえた。












エリカから預かった鍵でドアを閉めて、
エレベーターを待ちながら、ふとお隣さんのドアが目に入った。

エリカからのたった一つのルール、それは…

『男を連れ込まないこと!
だって、カガリちゃんと彼氏がベッドやソファーで×××しちゃったら…。』

『そんな事するかよっ!
だいたい、彼氏なんていないし、欲しいとも思ってないから!』

間髪入れずにカガリが反論すると、
エリカは”ふふっ”と笑みをこぼした。

『えぇ、カガリちゃんの事は信頼してるわ。
でも、彼氏くらいつくってもいいと思うわよ。
恋って、いいものよ。』

肩を竦めるしかないカガリにエリカは、ポムと両手をたたいた。

『そうそう、お隣さんなんてどうかしら?
今時珍しいくらいの誠実な青年よ、イケメンだしね♪』

エリカのウィンクがさく裂した。
カガリがげんなりとした顔をしているのをスルーして、エリカは続ける。

『女の子はもちろん、お友達を呼んでる所も見たことないわ…。
あ、引きこもりって意味じゃなくて、物静かと言うか…、
夜空に冴える月ってイメージ?
だからね、太陽みたいにキラキラのカガリちゃんにぴったりだと思うのよ!』

と、力説するエリカに、カガリは内心”月と太陽って、水と油みたいなもんじゃないのか?”と
ツッコミを入れたのを覚えている。

引っ越してきた当初、両隣と直下の部屋には挨拶へ行ったが、
エリカの言うイケメンのお隣さんは留守で会えずにいた。

――今夜もう一度行ってみよう。

どんなイケメンが住んでいようと、
例えば人気の俳優やモデルが隣に住んでいようと

――悪いな、エリカ。
恋なんて始まる訳ないだよ。

――もう、どうしようも無いんだ、
この想いは…。

カガリは胸の痛みを飲み込んだ。
何年経っても慣れることの無い痛みを。
どうしようも無いと分かり切っていても、
溢れる想いは止められず、
こぼれる雫を受け止められず、
ただ流れていくだけで。

――きっと、ずっとこのままだから、私は。

どうしようも無い想いをどうすることも出来ないからオーブを飛び出して、
留学先のスカンジナビアで何度も恋をしようとして
何人かと頑張ってお付き合いをしてみても、
この想いは消えないんだということを思い知るだけだった。

そっとカガリは胸に手を当てる。

――だからこのまま、この想いと一緒に生きていくって決めたんだ。

もう叶わない恋だとしても。








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初めてのパロディでドキドキですが、ゆるーくお楽しみいただければ幸いです。

カガリは27歳くらいの設定です。

カガリさんが後ろ向きですが、それには理由があります。
それは次回、明らかになっていきます。


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