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と、カガリはアスランとシンに目配せをする。
カガリの本当の名前はカガリ・ユラ・アスハであるが、
父親の会社ではワーキングネームを使用し、父との関係性を公にしていなかったからだ。
“了解した”と言うかのようにアスランが軽く頷いてくれてほっとし、
担当者が変更になった経緯と自分の経歴を簡単に説明し始めたカガリを
シンがマイペースに遮った。
「堅苦しい自己紹介はいいって!
えーっと、簡単に言うとーー」
完全に主導権を握っているシンが、勝手にカガリの他己紹介を始めた。
「カガリと俺は、お互いスカンジナビアに留学した時に知り合って、
現地では1番仲良かったよな。
留学生仲間から親友になって、付き合って…」
「ちょっと!
元カノってこと!」
シンの恋人と思われる彼女は、怒髪天を突く勢いだ。
美人な分だけ凄みが増し、カガリはブンブンと手を振って説明しようとしたが、
「ルナの言う通り、元カノっていうのは事実だけど…。
でも、うーん、戦友っていうのが1番しっくりくる関係かもな。
留学先の勉強がキツくてさ、一緒に戦って乗り越えて。」
“な。”と、懐かしそうに目を細めて同意を求めてくるシンに、
カガリは“うん、まぁ。”同意を示しながらも、
現恋人である彼女の気持ちを考えると説明不足だと感じていた。
シンの説明では誤解を招いて彼女を傷つけてしまいそうだから。
「あの、詳しくは後でシン…じゃなかった、アスカさんから聞いて欲しいんですけど、
ルナさんが心配するような事は何も無いです。
むしろ、私はルナに笑われてしまうと思います。」
カガリは当時を思い出して恥ずかしさに小さくなった。
ルナはまだ完全には納得していない様だが、カガリの言葉に嘘は無いことは伝わったのか、
“後でキッチリ説明してもらいますからね!”と、シンの耳を引っ張り、
“イテテ…”言いながらも、まんざらでも無い表情を浮かべるシンに、
カガリはシンとルナの関係性を見た気がしてほっこりとしていた。
が、隣に座るアスランはどこか固まったような表情をしていて、
気のせいだろうか、顔色が悪いように思われる。
「アスラン、大丈夫か。
体調悪いのか。」
カガリが顔を覗き込むと、アスランは髪をかきあげながら応えた。
「大丈夫。
じゃぁ、カガリとシンは知り合いだから、
後はルナマリアの自己紹介を。」
と、今度はルナの方が話を遮った。
「アスランとヤマトさん、ひょっとして知り合いですか?」
流石は女の勘というやつか、瞬時に感じ取ったルナに驚きながらもカガリは頷いた。
「あぁ、高校の同級生。」
“な。”と、カガリがアスランに視線を向ければ、
アスランは“あぁ。”と、なんだか歯切れの悪い返事をした。
さっきからアスランの言動がらしく無いとカガリの心配は募るが、
ルナとシンは御構い無しの猛スピードのタックルのような質問責めを開始し、
そんな姿を見て、カガリはルナとシンは似た者同士のお似合いだと心底思うのだ。
こんなカップルだったら、
毎日楽しくて、
日常の中にたくさんの思い出が出来て…。
「アスランはどんな高校生だったんですか?
やっぱりモテたんですか?」
「へー、生徒会で一緒だったんだ。
アスランが会長ねぇ。」
「なんかいそうなタイプよね。
すんごいイメージ湧くもの。」
「それより、カガリ。
写真無いの、写真!」
「きゃー、見たい見たい!
カガリさん、写真見せてください!!
このとーり!!」
“おいおい、その辺に…”とアスランが待ったをかけようとした時、
カガリは“あった!”、と携帯の画面を2人に見せた。
生徒会室で、キラとアスランと3人で撮った写真だった。
高校2年生の頃、まだ恋も知らず、毎日が楽しくて仕方がなかったあの頃ーー
カガリの笑顔には一点の影も無かった。
「うわぁぁぁぁ!!!」「きゃーーーー!!!」
「カガリ、めっちゃかわいいっ!」
「アスランはイケメンすぎー。」
「なーんか、青春って感じだなぁ。」
「爽やかすぎるっ。
こんな生徒会だったら、全校生徒はみーんな生徒会のファンになっちゃうわ〜。」
と、二人は好き放題の感想を言い合い、
そんな姿が微笑ましくてカガリは笑みをこぼした。
「カガリさんのお隣のイケメン様は誰ですか?」
ルナの“イケメン様発言”に吹き出して、カガリは応えた。
「それは私の双子の弟のキラ。
で、アスランの親友。」
「美男美女の双子が生徒会に!
マンガみたい〜!」
と、ルナのテンションはどんどん上がっていく。
“じゃぁ、3人でとっても仲が良かったんですよね。”とルナは前置いて続けた。
「もしかして、高校生の頃、
アスランとカガリさん、付き合ってたりして!」
グサリと突き刺さった言葉に一瞬フリーズしそうになったカガリは、
バレー部で鍛えた瞬発力で切り返した。
「そんな訳無いだろ?
ただの友達だって!」
アスランにこの胸の痛みを悟られてはいけない、
新しく始まるアスランとの関係性を守って仕事を成功させること、
それが1番大事なことなんだ。
そう思えば、カガリはどんな痛みだって乗り越えらる気がしていた。
空気を変えようと、別の写真を探していると、
横から覗き込んでいたアスランが声を上げた。
その写真は高校3年生の文化祭のものだった。
ふとしたタイミングでアスランに告白してしまい、振られた後に迎えた文化祭。
写真の中の中のカガリの笑顔は、先程のものとは全く別だった。
笑顔の中に混じる切なさ、それに気づく者はこの場に居なかった。
“どんな痛みでも乗り越えてられる”と思った5秒後に、
カガリはズキズキとした痛みに襲われて思わず滲みそうになった瞳を凝らして
簡単に説明した。
「これは高校3年生の時の文化祭。
私のクラスの出し物は、アリスのティーパーティーで…」
写真には、ブルーのワンピースにフリルのエプロンを付けたカガリと、
制服姿のアスランとキラ、
そしてもう1人ーー
「この人、超絶かわいいですね!
ラクス・クラインにそっくりで。」
“あ…”と、カガリはアスランに視線を向けると、アスランは特に気にせず応えた。
「ラクスだよ。
俺の幼馴染なんだ。」
ーー幼馴染で好きな人…だろ。
胸の内でカガリは呟いた。
今はヨーロッパを中心に活躍する世界的な歌姫、ラクス・クライン。
ただし、当時はデビュー前の音楽高校に通うお嬢様だった。
失恋して間もない当時、アスランからラクスを紹介されて、
カガリが泣き出さずに済んだのは隣にキラがいてくれたからだった。
繋いだ手から、“頑張れ”の声が聞こえたから。
実際にラクスと文化祭を回ったのは何故かキラだったけど、
カガリのクラスの喫茶店でラクスと話をしてみると、澄んだ泉のように素敵な子だった。
ラクスとの思い出はこの一時だけだが、
今でもカガリの中でキラキラとしている。
「ラクス様が幼馴染って!
ここまでくると、アスランの設定が胡散臭く感じるわ。
マンガかよっ!」
と、ルナが好き放題言うので、
“それ、言えてる〜”と、シンとカガリは声を上げて笑った。
こうしてシンと笑い合っていると、留学していた当時を思い出せて
カガリはホッとするのだ。
シンの存在が、時間を高校生から未来へ動かしてくれた気がして。
そっとアスランを見れば、あの頃と変わらない困ったようは笑顔に
どこか寂しさが紛れ込んでいるような気がして、
ーーアスラン…?
共同事業の第一回目のミーティングは大半を雑談で占めることになってしまったが、
短時間でも内容の濃いものとなったのは、それだけシンとルナ、
そしてこの事業の責任者であるアスランが優秀だからであるとカガリは痛感し、
持ち前の負けん気の強さでやる気がムクムクと湧いてきた。
ミーティングを終え、これからお世話になる部署への挨拶回りと、
充てがわれたデスクの片付けを終えようとしたタイミングでシンがやってきた。
「カガリ、今夜予定ある?
再会を祝して飲みに行こうぜ!」
「あ、予定は無いけど、
えっと…。」
カガリは、誘いは嬉しいしシンと久しぶりに話がしたい気持ちはあったが、
金曜の夜に彼女を差し置いて他の女、ましてや元カノと飲むのに、
シンもルナも抵抗は無いのだろうかと不安が過ぎる。
ルナとはミーティングという名の雑談の中で打ち解けて、
名前で呼び合う間柄にはなったが…。
ーーそもそもシンは今夜、ルナに私との過去を説明すべきなんじゃ…!
そこまで思った時だった。
「シン、企画書の再提出は今日の午前中までだっただろ。
終わらせてから帰れよ。」
カガリの隣に、身支度を終えたアスランが立っていた。
「カガリ、一緒に帰ろう。」
まるで高校生の頃のように、
優しくて穏やかな笑顔でアスランが言うから、
「うん。」
カガリはそうなることが自然のように頷いていた。
大好きなアスランの笑顔を真正面から見たのは何年振りだろう。
あまりにも素直に胸が高鳴って、
頬が染まっていくのを隠すようにカガリは黙々と帰り支度をする。
そんなカガリの胸の内なんて知らず、アスランはカガリに話しかけて来るから心臓が持たない。
「せっかくだから食事でも。
カガリは何が食べたい?」
「アスランのオススメのお店は?」
「俺じゃなくて、キラの好きな店なら知ってる。」
「ケーキかパフェが美味しいカフェか?」
「小さな洋食屋なんだ。
キラはいつも食後のデザートに2、3品は頼んでるから、
きっとスイーツも美味しいんだと思う。」
「わぁ、行ってみたい!」
いつのまにかポンポンと会話が進んで、“大丈夫。”そう自分に言い聞かせ、
カガリはアスランに付いて席を立った。
“くそ〜!久々にカガリと盛り上がりたかったのに〜!”と悔しがるシンを、
ルナは“来週には、カガリの歓迎会で飲めるんだから、ね。”となだめた後、
思案するように2人が出て行った扉を見つめた。
「アスランが女の子を誘ってるの、初めて見たわ。」
ルナの驚きは最もだった。
何故なら、アスラン程の容姿に社長の息子という肩書きと申し分無い実績から
女子社員はもちろん、社外、さらには芸能人からのお誘いもあったと噂されているが、
アスランは全て断ってきたという。
もちろん、彼自ら女性を誘った等とは聞いた事も無い。
「アスランも、久々に話がしたかったんじゃねぇの?
同級生で、一緒に生徒会もやってた仲なんだし。」
するとルナは目を凝らすように細める。
「アスランみたいなタイプが、再会を理由にプライベートで誘うかしら?
仕事上のことであれば業務時間内に済ませるだろうし。
なぁ〜んか、引っかかるわね。」
“そんなもんかなぁ。”と、シンは伸びをして
すっかり忘れていた企画書に取り組むのだった。
ーーーーーー
今回もお読みくださり、ありがとうございます!
読者さまが少ないのでやりたい放題です(^_^;)
きっと、お読みくださってる皆さまは寛大な方ばかりなのでしょう。
甘えさせていただき、今後も好き放題な展開を予定しています。
と言っても、2人の恋路を邪魔する人物は出てきませんし、むしろ最大の敵は自分自身!?的な感じです。
なので、軽いノリのパロディを安心して読み進めていただけると思います。
さて、シンとカガリさんは元カレ元カノの関係でした(^_^;)
でも、皆さまがご心配されるような関係では無く、
それはそれは清いご関係でしたのでご安心を!
まぁ、別れた原因が清すぎるからなんですが(-ω-;)
高校生の頃の写真を見て盛り上がる皆さん!
ですが、何故かアスランは寂しげです。
その理由は後々…。
さて、次回はアスランとカガリさんのデートです!
アスランはどういうつもりなんでしょうかね。
それも後々…。
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と、カガリはアスランとシンに目配せをする。
カガリの本当の名前はカガリ・ユラ・アスハであるが、
父親の会社ではワーキングネームを使用し、父との関係性を公にしていなかったからだ。
“了解した”と言うかのようにアスランが軽く頷いてくれてほっとし、
担当者が変更になった経緯と自分の経歴を簡単に説明し始めたカガリを
シンがマイペースに遮った。
「堅苦しい自己紹介はいいって!
えーっと、簡単に言うとーー」
完全に主導権を握っているシンが、勝手にカガリの他己紹介を始めた。
「カガリと俺は、お互いスカンジナビアに留学した時に知り合って、
現地では1番仲良かったよな。
留学生仲間から親友になって、付き合って…」
「ちょっと!
元カノってこと!」
シンの恋人と思われる彼女は、怒髪天を突く勢いだ。
美人な分だけ凄みが増し、カガリはブンブンと手を振って説明しようとしたが、
「ルナの言う通り、元カノっていうのは事実だけど…。
でも、うーん、戦友っていうのが1番しっくりくる関係かもな。
留学先の勉強がキツくてさ、一緒に戦って乗り越えて。」
“な。”と、懐かしそうに目を細めて同意を求めてくるシンに、
カガリは“うん、まぁ。”同意を示しながらも、
現恋人である彼女の気持ちを考えると説明不足だと感じていた。
シンの説明では誤解を招いて彼女を傷つけてしまいそうだから。
「あの、詳しくは後でシン…じゃなかった、アスカさんから聞いて欲しいんですけど、
ルナさんが心配するような事は何も無いです。
むしろ、私はルナに笑われてしまうと思います。」
カガリは当時を思い出して恥ずかしさに小さくなった。
ルナはまだ完全には納得していない様だが、カガリの言葉に嘘は無いことは伝わったのか、
“後でキッチリ説明してもらいますからね!”と、シンの耳を引っ張り、
“イテテ…”言いながらも、まんざらでも無い表情を浮かべるシンに、
カガリはシンとルナの関係性を見た気がしてほっこりとしていた。
が、隣に座るアスランはどこか固まったような表情をしていて、
気のせいだろうか、顔色が悪いように思われる。
「アスラン、大丈夫か。
体調悪いのか。」
カガリが顔を覗き込むと、アスランは髪をかきあげながら応えた。
「大丈夫。
じゃぁ、カガリとシンは知り合いだから、
後はルナマリアの自己紹介を。」
と、今度はルナの方が話を遮った。
「アスランとヤマトさん、ひょっとして知り合いですか?」
流石は女の勘というやつか、瞬時に感じ取ったルナに驚きながらもカガリは頷いた。
「あぁ、高校の同級生。」
“な。”と、カガリがアスランに視線を向ければ、
アスランは“あぁ。”と、なんだか歯切れの悪い返事をした。
さっきからアスランの言動がらしく無いとカガリの心配は募るが、
ルナとシンは御構い無しの猛スピードのタックルのような質問責めを開始し、
そんな姿を見て、カガリはルナとシンは似た者同士のお似合いだと心底思うのだ。
こんなカップルだったら、
毎日楽しくて、
日常の中にたくさんの思い出が出来て…。
「アスランはどんな高校生だったんですか?
やっぱりモテたんですか?」
「へー、生徒会で一緒だったんだ。
アスランが会長ねぇ。」
「なんかいそうなタイプよね。
すんごいイメージ湧くもの。」
「それより、カガリ。
写真無いの、写真!」
「きゃー、見たい見たい!
カガリさん、写真見せてください!!
このとーり!!」
“おいおい、その辺に…”とアスランが待ったをかけようとした時、
カガリは“あった!”、と携帯の画面を2人に見せた。
生徒会室で、キラとアスランと3人で撮った写真だった。
高校2年生の頃、まだ恋も知らず、毎日が楽しくて仕方がなかったあの頃ーー
カガリの笑顔には一点の影も無かった。
「うわぁぁぁぁ!!!」「きゃーーーー!!!」
「カガリ、めっちゃかわいいっ!」
「アスランはイケメンすぎー。」
「なーんか、青春って感じだなぁ。」
「爽やかすぎるっ。
こんな生徒会だったら、全校生徒はみーんな生徒会のファンになっちゃうわ〜。」
と、二人は好き放題の感想を言い合い、
そんな姿が微笑ましくてカガリは笑みをこぼした。
「カガリさんのお隣のイケメン様は誰ですか?」
ルナの“イケメン様発言”に吹き出して、カガリは応えた。
「それは私の双子の弟のキラ。
で、アスランの親友。」
「美男美女の双子が生徒会に!
マンガみたい〜!」
と、ルナのテンションはどんどん上がっていく。
“じゃぁ、3人でとっても仲が良かったんですよね。”とルナは前置いて続けた。
「もしかして、高校生の頃、
アスランとカガリさん、付き合ってたりして!」
グサリと突き刺さった言葉に一瞬フリーズしそうになったカガリは、
バレー部で鍛えた瞬発力で切り返した。
「そんな訳無いだろ?
ただの友達だって!」
アスランにこの胸の痛みを悟られてはいけない、
新しく始まるアスランとの関係性を守って仕事を成功させること、
それが1番大事なことなんだ。
そう思えば、カガリはどんな痛みだって乗り越えらる気がしていた。
空気を変えようと、別の写真を探していると、
横から覗き込んでいたアスランが声を上げた。
その写真は高校3年生の文化祭のものだった。
ふとしたタイミングでアスランに告白してしまい、振られた後に迎えた文化祭。
写真の中の中のカガリの笑顔は、先程のものとは全く別だった。
笑顔の中に混じる切なさ、それに気づく者はこの場に居なかった。
“どんな痛みでも乗り越えてられる”と思った5秒後に、
カガリはズキズキとした痛みに襲われて思わず滲みそうになった瞳を凝らして
簡単に説明した。
「これは高校3年生の時の文化祭。
私のクラスの出し物は、アリスのティーパーティーで…」
写真には、ブルーのワンピースにフリルのエプロンを付けたカガリと、
制服姿のアスランとキラ、
そしてもう1人ーー
「この人、超絶かわいいですね!
ラクス・クラインにそっくりで。」
“あ…”と、カガリはアスランに視線を向けると、アスランは特に気にせず応えた。
「ラクスだよ。
俺の幼馴染なんだ。」
ーー幼馴染で好きな人…だろ。
胸の内でカガリは呟いた。
今はヨーロッパを中心に活躍する世界的な歌姫、ラクス・クライン。
ただし、当時はデビュー前の音楽高校に通うお嬢様だった。
失恋して間もない当時、アスランからラクスを紹介されて、
カガリが泣き出さずに済んだのは隣にキラがいてくれたからだった。
繋いだ手から、“頑張れ”の声が聞こえたから。
実際にラクスと文化祭を回ったのは何故かキラだったけど、
カガリのクラスの喫茶店でラクスと話をしてみると、澄んだ泉のように素敵な子だった。
ラクスとの思い出はこの一時だけだが、
今でもカガリの中でキラキラとしている。
「ラクス様が幼馴染って!
ここまでくると、アスランの設定が胡散臭く感じるわ。
マンガかよっ!」
と、ルナが好き放題言うので、
“それ、言えてる〜”と、シンとカガリは声を上げて笑った。
こうしてシンと笑い合っていると、留学していた当時を思い出せて
カガリはホッとするのだ。
シンの存在が、時間を高校生から未来へ動かしてくれた気がして。
そっとアスランを見れば、あの頃と変わらない困ったようは笑顔に
どこか寂しさが紛れ込んでいるような気がして、
ーーアスラン…?
共同事業の第一回目のミーティングは大半を雑談で占めることになってしまったが、
短時間でも内容の濃いものとなったのは、それだけシンとルナ、
そしてこの事業の責任者であるアスランが優秀だからであるとカガリは痛感し、
持ち前の負けん気の強さでやる気がムクムクと湧いてきた。
ミーティングを終え、これからお世話になる部署への挨拶回りと、
充てがわれたデスクの片付けを終えようとしたタイミングでシンがやってきた。
「カガリ、今夜予定ある?
再会を祝して飲みに行こうぜ!」
「あ、予定は無いけど、
えっと…。」
カガリは、誘いは嬉しいしシンと久しぶりに話がしたい気持ちはあったが、
金曜の夜に彼女を差し置いて他の女、ましてや元カノと飲むのに、
シンもルナも抵抗は無いのだろうかと不安が過ぎる。
ルナとはミーティングという名の雑談の中で打ち解けて、
名前で呼び合う間柄にはなったが…。
ーーそもそもシンは今夜、ルナに私との過去を説明すべきなんじゃ…!
そこまで思った時だった。
「シン、企画書の再提出は今日の午前中までだっただろ。
終わらせてから帰れよ。」
カガリの隣に、身支度を終えたアスランが立っていた。
「カガリ、一緒に帰ろう。」
まるで高校生の頃のように、
優しくて穏やかな笑顔でアスランが言うから、
「うん。」
カガリはそうなることが自然のように頷いていた。
大好きなアスランの笑顔を真正面から見たのは何年振りだろう。
あまりにも素直に胸が高鳴って、
頬が染まっていくのを隠すようにカガリは黙々と帰り支度をする。
そんなカガリの胸の内なんて知らず、アスランはカガリに話しかけて来るから心臓が持たない。
「せっかくだから食事でも。
カガリは何が食べたい?」
「アスランのオススメのお店は?」
「俺じゃなくて、キラの好きな店なら知ってる。」
「ケーキかパフェが美味しいカフェか?」
「小さな洋食屋なんだ。
キラはいつも食後のデザートに2、3品は頼んでるから、
きっとスイーツも美味しいんだと思う。」
「わぁ、行ってみたい!」
いつのまにかポンポンと会話が進んで、“大丈夫。”そう自分に言い聞かせ、
カガリはアスランに付いて席を立った。
“くそ〜!久々にカガリと盛り上がりたかったのに〜!”と悔しがるシンを、
ルナは“来週には、カガリの歓迎会で飲めるんだから、ね。”となだめた後、
思案するように2人が出て行った扉を見つめた。
「アスランが女の子を誘ってるの、初めて見たわ。」
ルナの驚きは最もだった。
何故なら、アスラン程の容姿に社長の息子という肩書きと申し分無い実績から
女子社員はもちろん、社外、さらには芸能人からのお誘いもあったと噂されているが、
アスランは全て断ってきたという。
もちろん、彼自ら女性を誘った等とは聞いた事も無い。
「アスランも、久々に話がしたかったんじゃねぇの?
同級生で、一緒に生徒会もやってた仲なんだし。」
するとルナは目を凝らすように細める。
「アスランみたいなタイプが、再会を理由にプライベートで誘うかしら?
仕事上のことであれば業務時間内に済ませるだろうし。
なぁ〜んか、引っかかるわね。」
“そんなもんかなぁ。”と、シンは伸びをして
すっかり忘れていた企画書に取り組むのだった。
ーーーーーー
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読者さまが少ないのでやりたい放題です(^_^;)
きっと、お読みくださってる皆さまは寛大な方ばかりなのでしょう。
甘えさせていただき、今後も好き放題な展開を予定しています。
と言っても、2人の恋路を邪魔する人物は出てきませんし、むしろ最大の敵は自分自身!?的な感じです。
なので、軽いノリのパロディを安心して読み進めていただけると思います。
さて、シンとカガリさんは元カレ元カノの関係でした(^_^;)
でも、皆さまがご心配されるような関係では無く、
それはそれは清いご関係でしたのでご安心を!
まぁ、別れた原因が清すぎるからなんですが(-ω-;)
高校生の頃の写真を見て盛り上がる皆さん!
ですが、何故かアスランは寂しげです。
その理由は後々…。
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アスランはどういうつもりなんでしょうかね。
それも後々…。
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