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soranokizunaのカケラたちや筆者のひとりごとを さらさらと ゆらゆらと
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3月8日 運命の出会い記念SS 【おまけ】

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

アスランとカガリの運命の出会いに、
彼等に出会えた奇蹟に、
そして彼等が結んでくれた沢山の出会いに、

感謝の気持ちを込めて。



で、最後を飾るのはやはりこの方々(笑。
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「ねー、何があったのさぁ~。」

 

デスクに顎をのせたまま頭を左右に振る親友に

アスランは溜息をついた。

「だから、キラが期待するような事は無かったと言っているだろう。」

キラは、アスランが“キラが期待するような事”という言葉を選んだことから、

それに代わる“何かはあった”ことを感づいていた。

だからこそ、アスランから事の真相を聞きだしたかったのである。

 

――僕の心配も知らないで~。

 

一向に口を開かないアスランに、キラは痺れを切らして項垂れて

(口角をニヤリと上げ、悪魔の微笑を浮かべて)

盛大な溜息をついた。

 

「そっかぁ、じゃぁカガリが喜んでたのは

カガリの勘違いだったんだぁ~。」

 

ピクリ、と親友の肩が揺れたのを

キラは見逃さなかった。

 

「カガリは嬉しそうだったよ~?

アスランと一緒に・・・。」

 

「俺だって嬉しかったさっ!!」

 

と、言い返してアスランは血の気が引いた。

目の前には背筋が凍るほど満面の笑みを浮かべる親友がいる。

こんな単純なカマに引っかかるなんて・・・

アスランは額に手を宛てて項垂れた。

 

「ラクス~♪

掛かった、掛かったっ!!

面白い話聴けそうだよ~♪」

 

「まぁまぁ、

大漁ですわね♪」

 

こうして、アスランはまるでスコールのような

キラとラクスの質問攻めにあうのであった。

 

それでも、アスランがスコールに打ちひしがれること無く

やがて射す陽の光を待つことが出来たのは、

端末の横に置かれたカードがあったから。

 

 

3月8日

ありがとうの日

 

カガリ



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3月8日 運命の出会い記念SS ③


※ 文章は、拍手下の「本文はこちらから」をクリックして、続きをお読みください。

2人の幸せな結末を、どうかお見守りください。

 
 

拍手[15回]

そうして、ザラ准将の説明が再開された。

しかし、雨の匂いに呼び起こされた記憶が

大地に染込むように心を満たしていくから

カガリは意識を集中させるように文書の文字を追った。

 

海風に混じる雨の匂い、

打ち寄せる波の音、

アスランの声――

 

――だめだ、負けるなっ!

 

カガリは薄く唇を噛んで、意識を現在に保とうとした。

それでも、どうしても過去に心が引かれてしまう。

海が月に引かれて波を生むように、

カガリの心がざわめきだす。

 

――今日が、あの日だから・・・

 

――アスランと、

   初めて出逢った・・・

 

と、意識を劈くような音に

カガリは微かに身体を震わせた。

 

「スコール・・・。」

 

呟くようなザラ准将の声に顔を上げれば、

窓を叩く大粒の雨で、景色が見えない程だった。

ビー玉を天からばら撒いたような音が部屋を包んで、

まるでこの場所だけが世界から切り離されたような感覚さえ覚える。

 

――あの時も、こんなスコールに遭って・・・

 

そう想ってしまった瞬間、カガリは胸の内がどうしようもなく熱くなり

その熱を持て余す自分に失望するように

全身が冷えるような感覚に襲われた。

そして、強制的に思考をねじ伏せ、ザラ准将の起案文書を閉じた。

 

このままでは、何もかもが中途半端になる。

叶えたい夢のためにある今も、

胸の内であたため続けた想いも。

だから。

 

「すまないが、日を改めてくれないか。

このスコールじゃ、大切なことを聴き逃してしまいそうで・・・。」

 

アスランの目を見ることも出来ず、

起案文書を差し出す自分に憤りを感じずにはいられなかった。

いつでも、どんなに揺らいでも、

顔を上げて前を向いて歩いていきたいのに、

 

――それが、私がアスランのために出来る

   全てなのに・・・

 

今、顔を上げて、アスランに全てを悟られない自信が

カガリには無かった。

もっと強くなりたいと、

あんなに想って励んで

それでも駄目で、

また、アスランを傷つけるなんて・・・

そんな事、絶対に嫌だ。

 

「そうですね。」

 

返された言葉が、冷ややかに響いた気がしたのは、

自分が寂しさを感じているからなのか、

それとも本当に失望されてしまったのか、

カガリには分からなかった。

 

手が軽くなって、准将が返却された起案文書を受け取ったと分かって、

カガリは寂しさから手を引くように

スコールが打ち付ける窓を見遣った。

 

すると、視界を遮る白い軍服。

見上げれば、そこに真摯な眼差しで見詰める准将がいた。

アスランだと、直感的に思った。

灼熱を想わせる眼差しに、言葉をなくした。

 

「聴き逃してもいい・・・。」

 

スコールに掻き消される程の声は

確かにカガリに届いて

掴んで、

そして離さなかった。

 

動けずにいるカガリに、

アスランはそっと近づいて

耳元で

ただカガリだけに聴こえるように

告げた。

 

「カガリ、ありがとう・・・。」

 

 

カガリは瞳を見開いて、

 

アスラン以外の音が消えた。

 

光を、見た。

 

奇跡という名前の

儚くて

小さくて

尊い光。

 

大切な、光――。

 

 

 

「すまない・・・。」

 

その声に瞼が弾かれ、見上げた先には

前髪で表情が隠れたアスランがいた。

頬に長い睫の影が差し、

唇を薄く噛んでいるように見えるのは、

気のせいだろうか・・・、

いや、きっと――。

 

「アスランっ!!」

 

気付いた時には、カガリは名前を呼んでいた。

准将、では無く、アスランと。

 

「アスラン、

ありがとう。」

 

カガリが向けた笑顔は

雨あがりに射す陽の光のように煌いて、

アスランは瞳を細め

微笑むように頷いた。

 

 

 

運命の出逢いも、

 

あなたがくれた想いも、

 

共に生きる喜びも、

 

同じ夢を描く心強さも、

 

あなたが今、ここにいることも、

 

みんな奇跡なんだ。

 

だから、

ありがとうを告げよう。

 

 

願わくば

この奇跡を未来と結び

永久に続いていきますように。




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3月8日 運命の出会い記念SS ②

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xiaoxue




拍手[12回]

「どうぞ。」

 

「失礼します。」

 

その声にカガリの肩にかかる髪が跳ねたのは

きっと風が吹いたからだと、

現れたザラ准将に思わせる程カガリは落ち着き払った眼差しで迎えた。

 

「どうした、緊急の案件か。

それとも、決裁漏れがあったか。」

 

そう問えば、ザラ准将はすっと起案を差し出した。

 

「緊急ではありませんが、

代表のお時間のある間にご確認いただけたら、と。」

 

穏やかで誠実な響きを持つ声が返ってきて、

思わず瞳を閉じて胸に刻みたくなる。

だからカガリは、ゆっくりと瞬きをして

准将を見上げた。

 

「あぁ、今は大丈夫だ。」

 

 

 

ザラ准将が持ってくる起案はいつも、寸分の隙が無い程完璧で

口頭で補われる説明は簡潔明瞭で

雨が大地に吸い込まれるように頭に入るから不思議だ。

 

――ほんっと、こいつの仕事は

   可愛げ無いなぁ。

 

と、カガリが心の中で呟けば、

 

「何か・・・?」

 

ザラ准将がこちらへ視線を滑らせるから

 

――なんでこんな時だけ鋭いんだよっ!!

 

と内心でつっこみを入れながら

カガリは小さく咳払いをした。

 

「いや、何でも無い。」

 

そう言ったのに、

みればザラ准将は微かに笑みを浮かべたように見えて、

ただそれだけで、

気のせいかもしてないのに

胸が軋むほど痛むから、

カガリは起案に目を戻した。

 

そうしなければ、言ってしまいそうだった。

 

“今日は何の日か、覚えてる?”、と。

 

“伝えたいことがあるんだ”、と。

 

“アスラン”って、

名前を呼んで、

 

“ありがとう“、と。

 

縛めなければならない想いに

手を伸ばしてしまいそうになるから・・・。

 

左壁面の開け放たれた窓から涼やかな風が吹く、

その度にアスランの香りにつつまれて、

水のように溢れる想いを鎮めるように

カガリはアスランに気付かれないようにそっと、深呼吸した。

 

 

 

と、強い風に文書がめくられる乾いた音が響いて、

ザラ准将の淀み無い説明が途切れる。

 

「窓を閉めましょうか。」

 

と、カガリの傍を離れた准将に、頼む、と声を掛けて

そしてふと薫る匂いにカガリは瞳を閉じた。

 

「雨の匂いがする・・・。」

 

「そうですね・・・。

雲の流れが早いので、雨になるかもしれません。」

 

そう応えたきり、窓枠に手を置いたまま

アスランが何を見ていたのか、

背中しか見えないカガリには

分からなかった。



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3月8日 運命の出会い記念SS

 

初めてSS書きました・・・。

様々なサイト様でお祝いしておりまして、感化されまして、

2時間で書きました・・・(なので、内容薄かったらごめんなさいっ!)

 

【設定】

時間軸 : 本編終了後、初めての3月8日

関係性 : 本編終了後のまま

       (恋人ではありませんが・・・)

ラスト : もちろん、幸せな結末です。

※文章は、拍手下の「本文はこちらから」をクリックしてお読みください。

 

一人でもお楽しみくださる方がいらっしゃると信じて。

アスランとカガリの出会いの奇跡に感謝して。

 

xiaoxue

 

 

拍手[17回]

 

 

―― 3月8日 ありがとうの日 ――

 

 

 

あれはまだ、

あなたと抱きしめあうことができた

あの頃。

 

3月8日――

 

『カガリ・・・ありがとう。』

 

見上げた先に穏やかな微笑みがあって

 

あなたのぬくもりにつつまれて

 

まるで深海のような静けさと

 

波音のような穏やかさを感じて

 

瞳を閉じて、

 

世界で一番好きな音を聴いた。

 

アスランの鼓動。

 

そこに私の鼓動が聴こえて

 

違うテンポで奏でるそれが

 

だんだん近づいて。

 

重なる鼓動に

 

尊い光を見たような気がした。

 

これが、奇跡だと思った。

 

だから、私はアスランに告げたんだ。

 

3月8日――

 

『ありがとう、アスラン。』

 

 

 

 

首長室で決裁文書の山をひとつひとつ攻略しながら、

カガリはふと床を滑る影を見た。

左壁面の大きな窓へ視線を馳せれば、

開け放たれたガラスの向こうで

常夏の蒼い空を白い鳥が翼を広げているのが見えた。

 

「ありがとう、アスラン・・・。」

 

知らず呟いたカガリは

自らの唇を指でなぞった。

声は、聞き届ける人がいないのに

この空中に漂うことなく

真白な天井に溶けて消えて、

そして、カガリの胸に深く沈んだ。

 

――ありがとう、アスラン・・・。

 

アスランに、

出会えた奇跡に、

想いを馳せる分だけ浮かぶのは

今もあの頃も変わらない、

「ありがとう」の言葉。

 

まだ、恋人の関係にあったあの頃に言えた言葉は、

今はこうして一人で呟く他無い現実に

涙を浮かべることは無い。

それは強がりでも意地でも無く、

純粋なカガリの望みだった。

 

――顔を上げて、前を向いて

   歩いていきたい。

 

――そしたらいつか、

   アスランが夢に描く未来を

   実現できるから。

 

――そしたら、あいつが、

   笑うから。

 

先の大戦時に、自ら指輪を外したカガリが

アスランを幸せにするたったひとつの方法、

それはアスランの描く夢を実現することだった。

夢を実現した未来で、アスランが笑ってくれるなら

それを隣で見ることが出来なくてもいいと思った。

それ程カガリは一心に願い、

顔を上げて前を向き、真直ぐに歩んでいた。

描いた同じ夢を、

その先の未来を

瞳に映すように。

 

でも、時折過る過去が

まるで月のように優しく照らすから

胸の奥にしまった想いがたちのぼって

瞳を揺らす。

 

そう、今も。

 

――今年は、言えないな・・・。

   「ありがとう」って。

 

わかっているのに

窓の外の、大空の真ん中で翼を広げる鳥に視線を馳せてしまうのは、

きっと何処かで思っているからだ。

飛んでいきたいと。

アスランが、あの頃のように

迎えてくれる筈無いのに。

 

――キラとラクスなら、

   間違いなく飛んでいくだろうな。

 

半身と金襴の友を想い、

心が擽られるように笑みが零れた。

 

――考えただけで私に笑顔をくれる、

   本当に、2人には感謝だな。

 

そう思考して、カガリはひとり大きく頷いた。

 

――うん、今日は“ありがとうの日”にしよう。

 

東洋の諺に“思い立ったら吉日”というものがあったが、

なんともステキな言葉だと

カガリは胸の内で盛大に感心し、

机の引き出しからカードを取り出すと

さらさらと万年筆を滑らせた。

 

“3月8日 ありがとうの日”

 

「よしっ!」

 

ウズミにそっくりな癖字のカガリの文字には

不思議と感情が乗る。

カガリはカードを机の隅に置くと、決裁文書の山に再び腕を伸ばした。

 

その時だった。

 

控えめなノックの音。

カガリは首を傾げて、携帯端末に表示されたスケジュールに視線を滑らせた。

が、そこには会議も面会も予定は入っていない。

 

――となれば、緊急な案件を持ってきたのかな・・・。

 

誰であろうと、官僚の顔を次々と浮かべながらカガリは返事をした。



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