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soranokizunaのカケラたちや筆者のひとりごとを さらさらと ゆらゆらと
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アスランと一緒に入った洋食屋はキラのお気に入りという事もあって、カガリ好みにピタリとハマった。



雫の音 ーshizuku no me ー 5


拍手[13回]






路地裏にあるレンガ造りの小さな店には、
店主の趣味であるアンティークの調度品が飾られていて落ち着いた雰囲気だった。
席もメニューの品数も多くは無いが、

「通いまくって、全メニュー制覇したい!」

と、カガリが叫ぶ程だった。
アスランが笑いながら“キラも同じことを言っていた。”と言えば、
カガリは目を輝かせて“今度はキラも誘って来ような!絶対だぞ!”と食べ終わる前から約束をし、
益々アスランの笑みは深まる。
カガリはオムライスに添えられたメンチカツを頬張る、その拍子に香ばしいサクっとした音が聞こえた。
正面のアスランは、相変わらず美しい所作でロールキャベツを口に運んでいて、
カガリは懐かしさが溢れるように笑った。
不思議そうな顔を上げたアスランに、カガリは応えた。

「やっぱり、ロールキャベツなんだなって思って。
アスランの数少ない好物だもんな。」

「覚えてたのか。」

と、無防備に驚いた顔をするから、
カガリはそっと瞳を伏せた。

「忘れる訳、無いだろ。」

ーーアスランのことは全部、覚えてる。

美味しい料理は自然と心を開かせるから、
このままアスランへの思いまで露わになってしまいそうで、
カガリは何気なさを装って水を口に含んだ。

ーー忘れられる訳、無いんだ。







「良かった、アスランが元気そうで。」

カガリは食後のデザート盛り合わせと共に紅茶を、アスランがコーヒーを飲んでいる時だった。
まったりとした空気の中で、カガリは続けた。

「ミーティングの時、ちょっと気になったから。」

するとアスランは、“カガリは変わらないな。”と呟いて、

「俺は大丈夫だよ。体調が悪かった訳でも無いし。」

カガリの心には、あの時のアスランらしからぬ言動や寂しげな笑顔が引っかかっていたが、
“そっか。”といって、ミックスベリーソースのかかったフォンダンショコラと一緒に飲み込んだ。
注文を受けててから焼き上げるフォンダンショコラは絶品で、添えられた自家製ジェラートも然りで、
カガリは小さな拳をブンブンと振って全身で味わっていた。
そんなカガリを見て、アスランは懐かしさに目を細める。

「カガリと一緒に食べる食事は、いつも特別においしかったな。」

食事に興味が無いアスランは、生徒会の仕事や勉強に時間を割いて食事を忘れることが少なからずあった。
その度にゴハンとスイーツ命の双子に叱られて。
その頃はそれで良かったけれどーー
あの事故があってから、アスランは殆ど食事をとることが出来なくなって、
精神的にも肉体的にも限界を超えて…。
そんな時、アスランを支えたのはキラとカガリだったのだ。
そんな過去を知るカガリだからこそ、

「今はちゃんと食事してるんだろうな!」

厳しい視線を向けられ、アスランは苦笑する。

「一応、気をつけてはいるし、
自炊することもある。」

「一応ってのは気になるな。
この3ヶ月間は私が見張ってるからな、ちゃんと食べるんだぞ!」

と、カガリがビシっと指させば、アスランは“観念しました”と肩を竦めた。




店を出ようとすると、気づかぬ間にアスランが支払いを終えていて
そのスマートさにアスランが大人なんだという当たり前の事実に改めて驚いて。
“奢られっぱなしは嫌だ!”とカガリが言えば、“じゃぁ、また今度はカガリに。”と返されて、
それが社交辞令じゃ無いといいなと、カガリは願うように頷いて、

「その時は、アスランのリクエストに全部答えてやるぞ!」

と言えば、思わぬ答えがかえってきた。

「じゃぁ、カガリの手料理が食べたい。
カガリの作ってくれたお弁当も、誕生日の時のロールキャベツもケーキも、
みんな美味しかった。」

エメラルドの瞳は懐かしさに揺らめいて、カガリは目が離せなくなる。

「覚えていて、くれたのか…?」

「忘れる訳無いだろ。
大切な思い出だ。」

アスランがくれた大好きな笑顔を、
こんな幸せな気持ちで受け取る日が来るなんてーー

「私もっ。
大切な思い出だ。」

その時見せたカガリの笑顔は、一点の曇りも無い
キラキラとした陽の光のようだった。






ーーーーーーーーー

なんて平和なデートでしょう。
まるで高校生に戻ったような楽しい時間を過ごした2人なのでした。

ひとつの思い出を互いに大事に思っていたなんて、
カガリさんは嬉しくてキラキラスマイル出しちゃいました。
おいおい、アスラン、このスマイル見て何とも思わないの?
と、キラ兄様なら突っ込むことでしょう(^_^;)

平和なデートでしたが、
これで終わる筈無いですよね〜。
次回は新たな登場人物を交えてもう少し踏み込みますよ!

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路地裏にあるレンガ造りの小さな店には、
店主の趣味であるアンティークの調度品が飾られていて落ち着いた雰囲気だった。
席もメニューの品数も多くは無いが、

「通いまくって、全メニュー制覇したい!」

と、カガリが叫ぶ程だった。
アスランが笑いながら“キラも同じことを言っていた。”と言えば、
カガリは目を輝かせて“今度はキラも誘って来ような!絶対だぞ!”と食べ終わる前から約束をし、
益々アスランの笑みは深まる。
カガリはオムライスに添えられたメンチカツを頬張る、その拍子に香ばしいサクっとした音が聞こえた。
正面のアスランは、相変わらず美しい所作でロールキャベツを口に運んでいて、
カガリは懐かしさが溢れるように笑った。
不思議そうな顔を上げたアスランに、カガリは応えた。

「やっぱり、ロールキャベツなんだなって思って。
アスランの数少ない好物だもんな。」

「覚えてたのか。」

と、無防備に驚いた顔をするから、
カガリはそっと瞳を伏せた。

「忘れる訳、無いだろ。」

ーーアスランのことは全部、覚えてる。

美味しい料理は自然と心を開かせるから、
このままアスランへの思いまで露わになってしまいそうで、
カガリは何気なさを装って水を口に含んだ。

ーー忘れられる訳、無いんだ。







「良かった、アスランが元気そうで。」

カガリは食後のデザート盛り合わせと共に紅茶を、アスランがコーヒーを飲んでいる時だった。
まったりとした空気の中で、カガリは続けた。

「ミーティングの時、ちょっと気になったから。」

するとアスランは、“カガリは変わらないな。”と呟いて、

「俺は大丈夫だよ。体調が悪かった訳でも無いし。」

カガリの心には、あの時のアスランらしからぬ言動や寂しげな笑顔が引っかかっていたが、
“そっか。”といって、ミックスベリーソースのかかったフォンダンショコラと一緒に飲み込んだ。
注文を受けててから焼き上げるフォンダンショコラは絶品で、添えられた自家製ジェラートも然りで、
カガリは小さな拳をブンブンと振って全身で味わっていた。
そんなカガリを見て、アスランは懐かしさに目を細める。

「カガリと一緒に食べる食事は、いつも特別においしかったな。」

食事に興味が無いアスランは、生徒会の仕事や勉強に時間を割いて食事を忘れることが少なからずあった。
その度にゴハンとスイーツ命の双子に叱られて。
その頃はそれで良かったけれどーー
あの事故があってから、アスランは殆ど食事をとることが出来なくなって、
精神的にも肉体的にも限界を超えて…。
そんな時、アスランを支えたのはキラとカガリだったのだ。
そんな過去を知るカガリだからこそ、

「今はちゃんと食事してるんだろうな!」

厳しい視線を向けられ、アスランは苦笑する。

「一応、気をつけてはいるし、
自炊することもある。」

「一応ってのは気になるな。
この3ヶ月間は私が見張ってるからな、ちゃんと食べるんだぞ!」

と、カガリがビシっと指させば、アスランは“観念しました”と肩を竦めた。




店を出ようとすると、気づかぬ間にアスランが支払いを終えていて
そのスマートさにアスランが大人なんだという当たり前の事実に改めて驚いて。
“奢られっぱなしは嫌だ!”とカガリが言えば、“じゃぁ、また今度はカガリに。”と返されて、
それが社交辞令じゃ無いといいなと、カガリは願うように頷いて、

「その時は、アスランのリクエストに全部答えてやるぞ!」

と言えば、思わぬ答えがかえってきた。

「じゃぁ、カガリの手料理が食べたい。
カガリの作ってくれたお弁当も、誕生日の時のロールキャベツもケーキも、
みんな美味しかった。」

エメラルドの瞳は懐かしさに揺らめいて、カガリは目が離せなくなる。

「覚えていて、くれたのか…?」

「忘れる訳無いだろ。
大切な思い出だ。」

アスランがくれた大好きな笑顔を、
こんな幸せな気持ちで受け取る日が来るなんてーー

「私もっ。
大切な思い出だ。」

その時見せたカガリの笑顔は、一点の曇りも無い
キラキラとした陽の光のようだった。






ーーーーーーーーー

なんて平和なデートでしょう。
まるで高校生に戻ったような楽しい時間を過ごした2人なのでした。

ひとつの思い出を互いに大事に思っていたなんて、
カガリさんは嬉しくてキラキラスマイル出しちゃいました。
おいおい、アスラン、このスマイル見て何とも思わないの?
と、キラ兄様なら突っ込むことでしょう(^_^;)

平和なデートでしたが、
これで終わる筈無いですよね〜。
次回は新たな登場人物を交えてもう少し踏み込みますよ!

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