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soranokizunaのカケラたちや筆者のひとりごとを さらさらと ゆらゆらと
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こんにちは。

カガリBirthday記念SSをお読みくださり、ありがとうございました。
大変長くなってしまったこと、さらに3話完結と言っておきながら
第4話まで引き伸ばしてしまったこと、深くお詫び申し上げます。

実は、カガリの誕生日にあわせて何かSSをと考えておりましたが、
直前まで何も浮かばず・・・、かなり迷った作品です。

今回は、このセリフをアスランとカガリに言わせたくて書きました。

「姫はわたくしめに、
何をくださるのでしょう。」
「私のまごころを・・・あげる。」

まごころあげちゃうのかよ、姫!

そんな甘い空気を壊すのは、やっぱりキラ兄様とラクス様でして(笑。
キラとラクスの花嫁大作戦や、
ムゥとマリューのサプライズパーティーに、
4人共謀のアスラン・カガリ密会大作戦など、
数々の大人の悪戯はいかがでしたでしょうか?

筆者的にはムゥの
『ベッドは狭いけど、音が響かないタイプのスプリングだから安心しろよな。』が、
一番びっくりしましたが(笑。
こうして見てみると、アスランの悪戯なんてほんと可愛いものですね。

そして、一番最後に式典の描写を入れました。
実はこれが、カガリの悪戯だったりします。


最後になりましたが、筆者の拙い文章をお読みくださり、
そして拍手を送ってくださり、心から感謝申し上げます。
今後とも、ゆっくりではございますが物語りを綴ってまいりますので、
お時間がある時などに訪れていただければ幸いです。

本当に、ありがとうございました。

xiaoxue

拍手[8回]

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カガリBirthday記念 アスカガSSの第4話です。
ようやく完結いたします。
物語はこちらからをクリックしてお読みください。


今回はアスランとカガリが、ちょっぴり甘い時間を過ごしています。
また、カガリの大胆発言(!?)も出てきます。

アスラン視点から物語が始まります。
そのため、第1話~3話の中でぼんやりと描かれていた
大人の悪戯が明らかになります!

そして、最強のカップルも登場です(笑!

今回は少し長めですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

では、アスランとカガリとキラとラクスの幸せな誕生日を祈って。
皆様との出会いの契機となった、この日に感謝して。

xiaoxue

拍手[29回]

 



 

重なる想いを抱きながら、
2人は手を繋ぐことも
手を伸ばすことすら許さずに、
想いを縛め続けてる。

同じ夢を叶える為に。

そんな2人に
奇跡の欠片を贈ろう。

大人の悪戯で。

 

 

 

 

アスランは胸に支えた息をゆっくりと解きながら、
シャンパングラスを傾けた。
ハチミツ色に煌く気泡に、無意識に今を重ねてしまう。
久しぶりに見たありのままの君と、
浮き立つ気持ちを抑えきれない自分と。

視線を隣に傾ければ、
かすかに頬を染めながらやさしくコサージュを撫でるカガリがいた。
過去と今は違っても、
過去と変わらぬ想いを勝手に抱き続けている自分が
過去と同じものを贈っていいものか、
アスランは随分と悩んだ。
迷惑ではないか、と。

しかし、過去と今の狭間で立ちすくむ自分の背中を押してくれたのは
キラとラクスと、ムゥとマリューだった。

 
 

ムゥからの強制的な誘いは、カガリの誕生日の2週間前だった。
 

『カガリのバースデーパーティーやるから、必ず来いよ。
5月17日の夜11時半からな。
え?時間が遅すぎるって?
誕生日はカウントダウンするもんだろ~!
あ、それからプレゼント持参でな。
いいか、“食べ物以外”のプレゼントだぞ!』
 

今は恋人という関係では無いのだから、カガリの誕生日を祝うことすら出来ないだろうと、
覚悟を決めていた時だった。
2人で過ごすことなんて、きっとこの先何年も、
もしかしたら叶わないまま終わるかもしれない。
だけどせめて、おめでとうの言葉だけでも伝えることができたら、
素直に嬉しいと思う。
嘗て共に戦場を駆けた戦友としてでも、
同じ夢を実現する同志としてでも、何でも構わない。
ただ、伝えることができれば、それでいいと思った。
 

が、何を贈ったらいいのかと悩んだ時、
怖いほどにタイミング良く、キラとラクスから通信が入った。
 

『カガリの誕生日にアスランから渡してよ。
僕たちの育てた花で作ったブーケ、そっちに送るから。』

『お花を余分に送りますわ。
コサージュでしたら、カガリも気軽に受け取ってくださるのではないでしょうか。』

なんで俺の悩みも、そもそもカガリと会う機会があることすら知っているんだ?
そんな疑問も湧いたが敢えてスルーすることにした。
が、やはり天下無双の2人である、これで会話が終わるはず無かった。

『あ、それから何か“残るもの”もプレゼントしてね。』

『カガリがお喜びになるものを。』

ハードルを上げたまま無情にも通信を切られ、アスランは呆然とした。
が、立ち止まっていても時は過ぎていくから、
なんとか手を尽くしてパーティー当日を迎えた。

 

 

しかし、ムゥから告げられた時刻通りにフラガ家と訪れれば、
ソファーにちょこんと座ったカガリとアスラン以外に招かれた客は無く。

ハメられたのだと、確信した。

『どういうことですかっ。』

怒りを抑えきれずに問えば、ムゥはそんなアスランの肩を乱暴に引き寄せ、耳打ちした。

『2人で客間に泊まったらいい。
ベッドは狭いかもしれないけど、音が響かないタイプのスプリングだから安心しろよな。』

『なっ!』

アスランは頬を染めて息を呑み、ムゥはニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべていて、
頑張れよと言わんばかりに肩を叩いてきた。
そんなアスランとムゥのやり取りに、カガリはきょとんと瞳を丸くしたまま首をかしげた。

『なぁ、何だぁ?』

そんなカガリの無垢な問いに、ムゥは爆弾を落とした。

『俺とマリューからの、
誕生日プレゼント!!』
 

――何が誕生日プレゼントだ!!

 


 

と、その時は内心で総ツッコミを入れたアスランであったが。

「ふふ。いい香だな。」

今、隣では小さなティアラをのせたカガリが、ブーケに顔を寄せては無垢な笑みを零している。
純白のワンピースに胸元の淡い色彩の花々が清楚に映えて、
綺麗だと思う。
自分が贈ったものを、想う人が身につけてくれるということ、
そんな小さな独占欲から来る喜びを、
日付が変わるまでの時間だけ許そうと、アスランは思った。
あと、もう少しだけ。

 

 


「それから。」
そう言って、アスランは掌を広げた程度の大きさの箱を取り出し、
長い睫を瞬かせながら見詰めるカガリの前に差し出して
「暇な時にでも、楽しんでくれたらと思って。」
そっと箱を開いた。

すると、
白い機会鳥が勢い良く飛び出して、広いリビングで翼を広げて旋回した。
平和の象徴であるハトをモチーフにした機械鳥は、翼にピンクのラインが入っている。
ストライクルージュと同じ配色で。

「う・・・わぁ!」

カガリは両手でつくった小さな拳を震わせて天井を見上げている。
身を乗り出して、ソファーから落ちそうな勢いだ。

気に入ってくれただろうか、アスランは不安に揺れそうになる視線を戻して、
軽く手を挙げ、白い機会鳥を呼び寄せた。
アスランの手の上にのる白い機会鳥は、じっとカガリの目を見詰めては首をかしげている。
一方のカガリは緊張しているのだろうか、少し頬を上気させている。
そんなカガリのありのままの表情に、アスランは笑みを零した。

「さ、カガリ、
手を出して。」

アスランの声に誘われるように、カガリはゆっくりと手を差し出した。
すると、機会鳥はアスランの手からカガリの手へと、軽やかに飛び移った。
カガリは機会鳥と真直ぐに向き合うと、ふわりと微笑みを浮かべた。

「お前、かわいいな。
名前は?」

「ポポッ!ポポッ!」

カガリは大きく頷くと、空いた手で機会鳥のくちばしを撫でた。

「よろしくな、ポポ。」

するとポポは応えるように、カガリの腕を伝って肩へ移動し、
甘えるように頬に擦り寄った。
くすぐったかったのであろうか、カガリは肩で跳ねる髪を揺らしてくすくすと笑みを零した。

カガリがポポとじゃれあっている、そんな様子に安堵して
アスランはローテーブルのシャンパンに手を伸ばした。
時計へ目を向ければ、あと数分で午前零時を迎える。


 

「良かった、気に入ってもらえたようで。」

「ありがとう、アスラン。
すっごく気に入ったぞ。
みんなに紹介したいくらいだ。」

そう言って、カガリは肩の上のポポを両手で包むと、ふわりと解き放った。
白い翼を広げて飛び回る姿に、カガリは自ずと半身であるキラへと想いを馳せた。
今頃、どうしているだろうかと。

本当は、キラとラクスと一緒に、
EPUにいるミリィたちと一緒に、
もっと沢山、みんなで楽しい時を過ごせたらいいのにと思う。

――きっと、いつか・・・。

 

「アスランも、パーティーに来れたら良かったのにな。
残業なんてしないでさ。」

カガリはちょこんと首を傾けて、アスランを見上げた。
そうしたらポポのこともみんなに紹介できたのに、とカガリは唇を尖らせた。
アスランは、ムゥから嘘の開始時刻を聞かされていたとは言い出すことが出来ず、苦笑した。
しかしカガリは、そんな裏事情を知る由も無い。

「みんなさ、色んな料理を持ち寄って、分け合って。
まるで式典の前夜祭みたいだったんだぞ!」

特に、コル爺お手製ケバブが最高だったんだと熱弁するカガリに悟られないよう、
アスランは溜息を飲み込んだ。
これで理由が分かったのだ、何故ムゥがアスランに“プレゼントは食べ物以外”と指定したのか。
しかしこの時のアスランは気付かずにいた、ムゥの2つ目の意図に。
いやもっと、既に仕掛けられている大人の悪戯に。

 

そんなアスランを他所に、カガリはシャンパングラスを傾けて
部屋の照明にスパークリングを透かしながら続けた。

「どうしてご先祖様が、式典で貢物を民へ振舞ったのか、
その理由を、改めて実感したよ。」

煌く気泡を映したカガリの琥珀色の瞳に、突然重厚さが増して、
アスランは問い返した。

「理由・・・?」

カガリは花が綻ぶような笑顔を見せて、
ローテーブルに置かれたアスランのシャンパングラスに向かって
乾杯の仕草をした。

「ご先祖様はもらった気持ちを民へ還したかったんだ、きっと。」
 

アスランは、カガリの言葉に悠久の歴史を感じ取り、目を瞠った。
伝統を形式的に継承するのではなく、
自らのものとして体現し、想いと共に引き継いでいく。
カガリは人の手によって引き継がれてきた歴史あるこの国の姫なのだと、思い知る。

「そうか。」

そう応えて、
ふとアスランに小さな悪戯が浮かんだ。


 

カガリがシャンパングラスをローテーブルへ戻した時、
そのままアスランはカガリの手を取った。
突然の出来事に、カガリは驚いた瞳でアスランを見詰める。

「では、姫。」

畏まったアスランの口調に、カガリの胸が高鳴る。
触れ合った手に、熱が燈っていく。
カガリは無意識に空いた手をきゅっと握り締めて胸元に当て、
コサージュに触れた拍子に、優しい香に抱かれた。

「姫はわたくしめに、
何をくださるのでしょう。」

「あ・・・。」

カガリは息を呑んでたゆたう視線を瞼で伏せた。
パーティーに来てくれたみんなには、
みんなからの料理をみんなで分け合うことで気持ちを還すことができた。
でも今は。
カガリは視線を泳がせたが、見つかる筈が無い。
 

「私、アスランにあげられるモノ、何も持ってない・・・。」

カガリは吐息まじりの言葉と共に俯いた。
素直に胸を痛めるカガリに、アスランは胸の内で小さく“ごめん”と呟いた。
 

――だから俺にくれないか。
   一番最初に、おめでとうを言う権利。

一年でたった一日しかない、特別な日の、
時計の2つの針が重なる瞬間に、
君と一緒に居られる権利。
今、この時だけ。
 

それはアスランの願いにも似た、小さな悪戯で。
しかし、カガリがきゅっと瞳を閉じてあまりに一生懸命考え込んでいるから、
アスランは苦味を帯びた微笑を浮かべて、
やんわりと取った手をほどいた。
そして、姫に告げようとしたその時――
 

カガリは解かれたアスランの手を取った。
離れていかないように、ぎゅっと。
アスランは息を呑み、触れ合った手から広がる熱に
用意していた言葉は消えうせた。
 

「私、アスランにあげられるモノ、何も持ってない。」


さっきと同じ言葉、
でも、終わらない言葉。


「だから・・・。」


カガリは顔を上げて、アスランと視線を重ねた。
瞳の中に、自分だけが映っている。
その奇跡に触れたくて、
違う、この時を奇跡にしたくて、
近づく距離。


「だから、私のまごころを・・・
あげる。」


心の糸を紡ぐような声で告げられた言葉。

鼓動が胸を打って、止まらない想いが駆け出すように
アスランはカガリの指を絡め取り引き寄せる――

 



 

“カガリ、それじゃぁ愛の告白だよ~。”

その瞬間、の一歩手前で、
何故かキラの声が響いた。
何故、何処からキラの声が聴こえてきたのかは分からない、
でも2人は手を繋いだまま、視線を重ねたまま、
アスランの身体は一気に冷え切って
一方カガリは一気に沸騰して、
そしてお互いの状況を一瞬で把握した。

「「うわぁぁぁぁぁ!!」」

2人同時に声を上げて距離を取り、

“もう、うるさいなぁ~。”

もう一度聴こえたキラの声に、
アスランは憮然としながらジャケットのポケットを探り、携帯端末を睨み付けた。

「キラっ!!
ハッキングで人のプライベート回線を勝手につなぐな!!」

端末のモードを音声から映像へと切り替えると、
案の定、朗らかな笑みを浮かべたキラとラクスがそこにいた。
キラがハッキングして、アスランの端末のプライベート回線を繋ぐことはたまにあるが、
今回ばかりは、背中に嫌な汗を感じずには居られない。
カガリとの会話が全て盗聴されていたとしたら・・・。
しかし、今は取り返せない過去よりもカガリを護ることが先だ。
視線を横へ向ければ、カガリは可愛そうな位紅くなった顔をブーケで隠している。
アスランは盛大な溜息をつくと、義理感のこもった声でキラに告げた。

「キラ、誕生日おめでとう。」

すると案の定、キラはぷりぷりと怒り出し
“親友なんだから、もっと大事にしてよね~”とか小言を呟き、
隣でラクスが鈴の音のような笑い声を上げている。
そんなほのぼのとしたやり取りに心がほぐれたのであろう、
カガリがそっとアスランの隣から顔を出した。

「キラ、おめでとう。
ブーケ、ありがとうな。」

はにかんだ微笑を浮かべるカガリに、
キラとラクスは顔を合わせて頷き、ハイタッチをした。

“やった~!”
“大成功、ですわ♪”

よく状況が飲み込めないカガリはきょとんと瞳を丸くして、
隣から見ていたアスランは、またしても嫌な予感に喉を鳴らした。

「え?なになに?
どうしたんだぁ?」

カガリが無垢な声で問えば、ラクスの爆弾発言が炸裂した。

“ブーケもコサージュも、とてもお似合いですわ。
まるで、花嫁のように。“

ラクスの言葉でアスランは確信する、全てはこいつらの仕業であると。
みるみる頬を染めていくカガリをよそに、キラとラクスの会話は続いていく。

“やっぱり、こっちのワンピースにしてよかったね。”

“はい、デコルテのラインがお美しいですし、
コサージュもほら、あんなに映えて。“

カガリは無意識にワンピースの裾をきゅっと握り締めた。

――もしかして、いや、もしかしなくても、
   このワンピースはキラとラクスから贈られたもの・・・?

“キラが見つけてくださいましたティアラも、
ぴったりでしたわね。“

“うん、ピンクサファイヤがバラに合うかなって。”

――まてまて、これも?!
   いや・・・と言うか・・・もしかして

「パーティーとか全部?!!」

真っ赤な顔のままカガリが叫べば、キラとラクスはゆったりと頷いて
言葉を加えた。

“パーティーはムゥさんとマリューさん企画だけど、
そこにちょこっと悪戯を、ね。”

と言って、キラがアスランに向かってウィンクし、
アスランは米神に手を這わせては溜息をついた。
カガリはキラの合図から、アスランも共犯であると勘違いしたのであろう、
キッとアスランに鋭い視線を向けると、
仁王立ちでビシっと人差し指を立て、宣言した。

「見てろよ~!
アスランの誕生日にも、い~っぱい悪戯してやるんだからなぁ~!!」

「え・・・あ、おいっ、誤解だっ!」

しかし、そんなアスランの言葉がカガリに届くはずもなく、
小さな花嫁は気合十分に拳を握り締めた。

“あらあら、キラ、カガリ。
もうすぐですわ。”

時計を見れば、もう間もなく0時を指すところ。
 

5、4、3、2、1


Happy Birthday to You!

 

 

 


式典当日。
カガリが纏ったラベンダー色のドレスの胸元には、
淡いピンクのバラのコサージュが指してあったという。

その胸に何を想い、何を抱いていたかは、
カガリだけの秘密――。
 

fin.


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カガリBirthday記念 アスカガSS

第3話です。
今回やっとアスラン登場です!

カガリの恋心を描いたつもりです。

物語はこちらからをクリックしてお読みください。

なお、3話完結の予定でしたがもう少しだけ続きます。
長くなってしまい、大変申し訳ございませんが、
お時間がある時にでもお読みいただけたら幸いです。

xiaoxue

拍手[11回]








来客を知らせるベルの音は、家主たちのように親しみに満ちた音で、

なのに小さく身体が跳ねる程、鼓動が胸を打ったのは、

心のどこかで願っていたからだろうか。

会いたいと。

 

 

ムゥは無造作に髪をかきあげながら“やっと来たな”と呟いて玄関へと向かい、
マリューは嬉しそうにキッチンへと向かった。
独りリビングに残されたカガリは、所在なさげにソファーに座った。


柔らかなソファーに身体ごと委ねるように沈みこんで、
意味不明に乱れた呼吸を取り戻す。
ムゥが言っていた“待つ”対象とは、この来客者のことであろうか。


リビングへと続く廊下からムゥの声が近づいてくるのが分かって、
予感か、それとも期待だろうか・・・、
無条件に心臓が忙しなく鼓動を打ち立てた。

マリューはキッチンから持ってきたシャンパンとグラスを
カガリの座るソファーの前のローテーブルに置いた。
その数は2つ。
カガリの目の前と、その隣。
マリューは洗練された手付きでシャンパンを注いだ。
心をくすぐるようなスパークリングの音を響かせて、シャンパングラスが満たされていく。
カガリはゆるゆるとマリューへ視線を向けると、
悪戯っぽい笑みを浮かべたマリューからウィンクを返された。

 

そしてガチャリと扉が開いた先に、
カガリは瞳を見開いた。

 

だって、会うことが出来ない人と思っていた人が
目の前にいるんだ。

手を伸ばせば届く程
すぐ傍に。

ブーケを持った、アスランが。

 

 

「アスラ・・・。」

求めていた名前は胸に支えて、うまく声にならなかった。

「カガリ・・・。」

アスランは、驚いた瞳をさらしてカガリを見詰めていた。
まるで時が止まったように動けずにいる2人を他所に、
ムゥはニヤリと口角を上げた。

「じゃ、俺達もう休むから。
戸締りだけ、よろしくな。」

そう言って、アスランのジャケットの胸ポケットに家のカギを落とした。
アスランは感情をすっ飛ばすような状況に、切羽詰った視線をムゥに当てた。

「どういうことですかっ。」

「え、見たまんまだけど。」

しかし、飄々と言ってのけるムゥに敵う筈はなく、
アスランは深い溜息をついた。
ムゥはそんなアスランの肩を乱暴に引き寄せ、何かを耳打ちする。

「なっ!」
アスランが頬を染めて息を呑み、
ムゥはニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべていて、
そんなアスランとムゥのやり取りに、カガリはきょとんと瞳を丸くしたまま首をかしげた。

「なぁ、何だぁ?」

そんなカガリの無垢な問いに、ムゥは爆弾を落とした。

「俺とマリューからの、
誕生日プレゼント!!」

 

 


来客して1分で、来客者を置いて寝てしまう家は
他に無いと思う。

ムゥとマリューがリビングを後にしてもなお、立ち尽くしているアスランと
見詰め合ったまま瞳を剥がせないカガリの間で、
シャンパンの繊細なスパークリングの音が響く。

カガリは、瞳はそのままにぎこちない手付きでソファーをぺちぺちと叩いた。

「とりあえず・・・、座れよな。
残業だった・・・んだろ?」

そう言葉を紡ぐので精一杯だった。
一方のアスランはくしゃりと表情を歪め、
「こんな筈じゃなかったんだが・・・。」
そう言って、眉尻を下げて笑った。

一歩一歩近づいてくるアスランに、
「え、残業じゃなかったのか?」
カガリがそう問えば、
「あぁ、残業はしていたよ。」
何処か曖昧さの残る言葉が返ってきた。
「なんだよそれ。」
それがおかしくて笑みを零せば、
アスランの穏やかな微笑みが返ってきて
止まらない喜びに満たされた。

「あ・・・。」

そんな、あまりに素直すぎる自分の想いに気付かされたその時だった。
隣に立ったアスランを仰ぎ見て、息が止まる。
アスランの瞳に自分が映っていた。
白いワンピースが、翠に染まっていた。

「おめでとう、カガリ。」

声が優しく降り注ぐ。
耳を澄ませていたくなる、だからアスランといると静かな気持ちになる。
ふわり、舞い上がる気持ちを今だけは胸に仕舞わずに、
言葉にしよう。

「ありがとう。」

 

 

2人だけの乾杯。
口に含んだシャンパンに
まるでハチミツを溶かしたような優しい甘さを感じたのは
気のせいだろうか。

 

「これは、キラとラクスから。」

そう言って、アスランはカガリにブーケを渡した。
清楚な淡いピンクのバラを基調とし、端々に添えられた鈴蘭が可愛らしく揺れている。
この花はキラとラクスが愛情を込めて育てたのであろう、
クライン邸の庭で寄り添う2人が見えるようで、カガリの顔に自然と微笑みが浮かんだ。
そんな風に、花の香に想いを馳せていたからであろう。

「それと、これは俺から。」
アスランの声にはっとして顔を上げれば、
「失礼。」
断りの言葉を落とされ、なんだか胸元がこそばゆくなる。
なんだろうと純白のワンピースに視線を這わせるとそこに、

「コサージュ・・・。」

ブーケと同じ、淡いピンクのバラに鈴蘭が散らされたコサージュがあった。
過去を見た、そう思って視界を濯ぐように瞬きをして、
もう一度見た先にあるのは偽りの無い、今。

――覚えてて、くれたんだ。

――あの頃が、今に変わっても。

――あの頃を、大切にしてくれた。

アスランがくれた、生花のコサージュがこの胸にある。
過去も今も変わらぬ想いを抱く、私の胸に。

真実に触れるようにそっと、カガリは繊細なバラの花びらに指を這わせた。
愛おしさが、バラの棘のように胸を刺して、
でも痛みの分だけ優しい気持ちになる。

――無限の加速度で広がっていくこの気持ちは、
アスランに届くかな。

想いを伝える手段はきっと、言葉だけじゃない。
だけど今、選べるものは言葉しか無いから。
真直ぐに決まった心、伝えるための息を吸い込んだ時、
ふと薫った花の香に背中を押された気がした。

「ありがとう。
嬉しい、とっても。」

アスランを仰ぎ見れば、驚いた瞳を緩めて
はにかんだような微笑を浮かべていた。

 

 

5月18日、午前0時まであと少し。

 

④へ続く・・・!

申し訳ございません!!
長くなってしまったので、一度切ります。
カガリの大胆発言は第4話までお待ちください!!
本当に申し訳ございません、ジャンピング土下座でお詫びいたします。



追記を閉じる▲

カガリBirthday記念、アスカガSSの第2話です。
(次回完結予定)

語はこちらからをクリックしてお読みください。

アスランとカガリの幸せな誕生日を祈って。

こうして皆様とお会いできる契機となった
この日に感謝して。

xiaoxue

拍手[13回]







戦前は、キラとラクスとアスランと、
小さなバースディパーティーを孤児院で開いた。
式典の、
キラと私の誕生日の前日に。

いつもアスランが贈ってくれたもの。
ラクスの育てた花で作った
生花のコサージュ。

花の香りは、まるでラクスのように優しくて、
アスランはどんな仕掛けをしたんだろう、
生花はいつまでも瑞々しく彩を輝かせて。

嬉しくて、
嬉しくて、
この胸に、あなたへの想いを抱いて
式典のドレスの胸元に
コサージュをさした。

あの頃。

 

 

 

サンダルのヒールを鳴らしながら、カガリはマリューの後ろに続いた。
ホームパーティーにしては静かすぎる廊下に、かすかに眉を顰める。

「なぁ、他には誰が来るんだ?。」

カガリの問いにマリューはたおやかな笑みを返すだけで、
益々訳がわからないとカガリは首をかしげた。
廊下の突き当たりのリビングの扉の前に行き着くと、
マリューは勢い良く扉を開けて、カガリの背中を押した。

 

 

Happy Birthday!!!!


その声と共に、クラッカーの弾ける音が華々しく重なる。
紙テープまみれになりながら、きょとんと瞳を丸くしたまま固まったままのカガリの目の前には
シャンパングラスを持った親しい仲間たちがいた。
ムゥやマリューをはじめとする戦友や軍の者たち、秘書官を含めた行政府の者たち、
コル爺やエリカといった技師を中心としたモルゲンレーテ組み、
そしてアンリやロイといった古い友人たち。

――パーティって・・・まさか、私のか?!!!

未だ突っ立ったままのカガリに、コル爺は無理矢理グラスを握らせると同時に
あまりに完結な乾杯の音頭を取った。

「飲むぞ~!!カンパ~イ!!!」

「「「「「カンパ~~~~~~~~イ!!!」」」」」

高らかに掲げたシャンパングラスの中で
星のような気泡が軽やかに弾けた。



 

エリカ特製ミートパイを頬張りながら、カガリはムゥとマリューに問うた。
カガリの頭上には、本日の主役ということで小さなティアラが飾られていた。

「もしかして、このパーティーって・・・。」

ムゥは(本日欠席)キサカ特製サバイバルカレーに舌鼓を打ちながら応えた。

「そ、カガリのバースディパーティーってこと。」

と、小さなお髭にパイくずをつけたコル爺が乱入してきた。
手にはアンリとロイの実家である旧ファウステン家自慢のアップルパイを持っている。

「まぁ、式典の前夜祭になっちまったけどな。」

庭と一体的なつくりになっている開放的なリビングには、
大きな皿に盛り付けられた料理が並んでいる。
カガリのためにおのおのが持ち寄った料理を振る舞い合う姿は
コル爺の言葉どおり式典の前夜祭のようになっている。
カガリは喜びを噛み締めるように瞳を閉じて、

「ありがとう。
とっても嬉しい。」

そう言うと、手に持っていたミートパイを一気に口に詰め込むと、
ミニスカートのワンピースの裾を翻し、フロアの方へ駆け出した。

 

 

“今日はありがとう。
どうだ、最近。相変わらずか。“
そう声をかけて回る。
すると仲間たちは一様に、カラリと晴れたオーブの空のような笑顔を見せて頷いてくれた。
酒も手伝ってか、みんな酷く上機嫌で、
酒や料理を堪能しながら紡がれる言葉は途絶えることを知らない。


仲間たちがくれる心地よい空気に心がほぐれて、
くれる笑みが心を躍らせて、


でも心はあまりに素直に“彼”を求めて、
視線は何にも縛られず、“彼”の姿を駆け出すように追って、


いけないと、心が鳴らす警鐘に瞳を閉じた時、
振り下ろされた真実に、立ち尽くした。


「今日、アスランは来れないって。」

「え。」

ムゥの声に無防備な声を発してしまい、
カガリは慌てふためく心を懸命に押さえ込んだ。
が、そんなことをしてもムゥには筒抜けなのだろう、
ムゥはカガリの肩に手を置くと、困ったように微笑んで言葉を落とした。

「残業だって、あいつらしいよなぁ。」

 


 


あの後、ムゥになんて言って応えたのか覚えていない。

乱入してきたアンリとロイと幼い頃の話をしたり、
エリカから溺愛する子どもの話を聴かされたり、
それに大いに共感するふりをしてムゥがマリューに迫ったり、
コル爺が馬鹿でっかい声で歌いだしては、何故かみんなで肩を組んで大合唱したり。


本当に楽しくて、


嬉しくて、


感謝の気持ちが水のように溢れて、


でも、


どんなに溢れても満たされない


私の心はどうしてこんなに、欲しがりなのだろう。

 

この胸に、コサージュが無いから?

 


 

 

「さ、今日はもうお開きにしよう!」

そんなムゥの一声で、やはり最後はコル爺の一本締めだった。
感謝と別れの挨拶をしながら耳を澄ませば、
どうやら参加者の多くは市街地で始まっている式典の前夜祭に繰り出すらしい。

――ほんっと、気持ちのいい奴らだよなぁ。

誰も居なくなったリビングにあるのは、
祭の後の寂しさ。
カガリは切り替えるように後片付けを手伝おうとした、が、

「あらあら、カガリさんは今日の主役だもの、
休んでいてね。」

「そうだぜ、今日は我が家に泊まっていくんだし。」

――・・・。

「えっ!!聴いてないぞっ!!」

「あら?マーナさんには許可をもらってるわよ。」

マリューは、“ねぇっ”と言いながらムゥに寄り添い、
ムゥは大げさに頷きながら応えた。

「まぁまぁ、
ちょっとだけ待ってやってくれよな。」

ムゥの言葉の指すものが分からず、カガリは首をかしげた。

――何を・・・?
   誰を・・・?

 



時計が間もなく夜の11時半を指そうとした時、
来客を伝えるベルの音が控えめに響いた。

誕生日まで、あと30分。

 

③へ続く・・・


次回、完結します!
カガリの大胆発言にご注目!



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カガリの誕生日を記念しまして、ささやかですがSSを書きました。
設定は以下のとおりです。

時間軸:戦後初めてのカガリの誕生日
関係性:代表と准将・・・ですが、ほんの~り甘いです。
結 末:もちろん幸せな結末です 

物語はこちらからをクリックしてお読みください。

カガリが幸せな誕生日を迎えられることを祈って。

Xiaoxue
 

拍手[35回]

 

 



今やオーブの国民で、
5月18日が何の日であるか知らない者は少ない。


旧世紀から代表首長生誕記念日は国民の休日である他、記念式典が伝統的に行われてきた。
一部が世界遺産に認定されているアスハ邸を広く国民に開放し、
当日は広大な邸内が、人種や国籍、年齢、職業、地位などの区別無く多くの人々で賑わいを見せる。
太古の首長が生誕祝いに贈られた貢物を市井へ振舞ったことが切欠となり、
現代ではオーブ国内の5つ星レストランから街の小さなカフェまで様々な店が料理をふるまい、
農場からは採れたての野菜や果物、食欲を掻き立てる肉、その隣では新鮮な海の幸が並び、
他方では絵画や彫刻、様々なオブジェが並び、反対側では色とりどりの花であふれ、
小さな広場では音楽が奏でられ、一つ二つと歌声が重なり、
大空の下で手を取り合いダンスを踊る。
その様子は観光ガイドブックに必ず掲載される程のフェスティバルと化していた。

だからこそ、カガリは式典の成功へ向けて力を尽くした。

 

式典、前日――

手入れが行き届いた庭に色鮮やかな花々が咲き乱れ、
普段は積み重なった歴史の重厚さを感じさせる建物はそこかしこに装飾が施され、
出店者たちはまるで市場さながらの活気に満ちて準備に勤しむ。
その中央で、式典の主役は
タンクトップにカーゴパンツ、手には軍手という井出達で、

「よーし、引っ張るぞぉっ!!」

バルコニーに看板を引き上げるために、ロープを引っ張っていた。

「姫様っ!!そのようなことは男衆にお任せくださいましっ!!」

こうやってマーナに咎められるのもいつものこと。

「いい・・・んだよっ、っと。
こうやって、みんなと一緒に創っていきたいんだ。」

カガリは手際よくロープを縛りに掛かる。

 

カガリは多くの人々に祝ってもらえること以上に、
自分の誕生日が多くの人々の喜びに繋がる切欠となることに喜びを感じていたのだ。
きっとこの式典の始まりは、首長が民への感謝を表したことにあるのではないかと、
カガリは思う。
何故なら、この式典の日を迎えるたびに思うのだ、
ありがとう、と。
故に、カガリは文字通り全身全霊で式典の準備に打ち込んでいた。

 

そう、それは真実で。

 

でも、瞳を閉じれば見えるのは
月のように浮かぶ過去。

キラとラクスと、アスランと、
みんなで祝った初めての誕生日も、
二度目の誕生日も、
思い出すだけで胸が締め付けられる程嬉しかったから、
喜びで溢れていたから。

アスランが、傍にいたから。

あの頃に帰りたいとは思わない。
選んだ今に、後悔は無い。
過去に想いを馳せることと、
過去へ縋ることは違う。
でも時々わからなくなる、不安になる、
私はそのどちらなのだろうかと。

眠りに落ちるように閉じてゆく瞼、
過去に誘われたのか、
それとも祈りを馳せようとしているのか、
分からない。

だからカガリはぐっと視線を定めると、次の作業に取り掛かった。

 

 

と、その時だった。
携帯用端末が鳴り、カーゴパンツの大きなポケットから取り出せば
良く知る名前が表示されていた。

「よっ、ムゥ!」

と、カガリが言い終わる前に、端末の向こう側のムゥの快活な声が飛んできた。

「カガリ、今夜時間作れないか?
我が家のホームパーティーにご招待するぜ。」

ちょっとおどけたムゥの声にカガリはくすくすと笑みを零した。
が、見渡せば、庭も屋敷内でも急ピッチで式典の準備が進められている。
ここで自分が抜ける訳にはいかない。

「ムゥ、悪いんだが・・・。」

と、断りの言葉を紡ごうとした時、掌に乗っていた携帯端末がマーナに奪われた。

「ムゥ様っ!!マーナでございます、おひさしゅう・・・。
えぇ、えぇ、・・、はい、はい、・・・あーら、左様でございましたか。」

そういいながら、マーナはチラリと横目でカガリを見た。
その視線に何かを感じ取り、カガリの身体がピクリと跳ねた。

「もちろん喜んで、では。」

ピ。
端末が切断された音が響いて、カガリは瞳を丸くした。

「マーナ、どういうことだっ。」

まだ準備が完了していないのに、パーティーに参加できる筈無いだろう、
カガリの顔にはそう書いてある。
しかし、だてにマーナも長年カガリの乳母を務めてきただけある、
不動の笑みを浮かべてピシャリと言い放った。

「姫様、準備は私どもにお任せになり、
どうぞ、楽しんできてくださいましっ!!」

 

 

それは例えて言うなら、強制連行であったと、
カガリは思う。

何処からともなく現れたSPにバスルームに連れて行かれ、
脱衣所の籠の中には真新しいワンピースが用意されていた。
タオルドライしながらバスルームを後にすれば、目を光らせた美容師がいて、
瞬く間に車に押し込まれて、車はフルスロットルで爆走。
そして、今。

ムゥの家の呼び鈴を鳴らしている。

――式典の準備は大丈夫であろうか・・・。

思わず漏れそうになった溜息を、首を左右に振って打ち消した。

――せっかくのパーティーだもんな、楽しまなくっちゃ!

小さな拳をきゅっと握って気合を入れた、その時だった。

木製のシンプルな装飾のなされた扉が開き、マリューが顔を出した。
洗濯褪せしていないエプロンからは新婚の甘い雰囲気が漂っていた。

「ごめんなさいね、急に呼び出しちゃって。
どうぞ。」

「いや、こんなお誘いは大歓迎だ!
ありがとう。」

カガリはマリューの後を続いてリビングへと向かった。




大人の悪戯はもう既に始まっているとは
知らないまま。




<②へ続く>



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